Drug Delivery

ドラッグ・デリバリーのオーソリティー
1897年のベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー創業時、最初に販売したのがガラスのシリンジでした。以来、110年以上にわたり、BDは注射器および注射針などのドラッグ・デリバリーにおいて、世界をリードしてきました。注射器・注射針の大きな転機は、1980年代、血液で伝播するHIV/AIDSの発生でした。BDは医療従事者を守るためのセーフティ器材のパイオニアとして、厚い信頼を得ています。
もう1つの重要なドラッグ・デリバリーの代表製品は、BD マイクロファインプラス™万年筆型注入器用注射針です。BDならではの技術による細く、短く、滑らかな針は、インスリン治療を必要とする糖尿病の患者さんにとって、治療の負担を少しでも軽減するするために不可欠なものです。私たちは糖尿病の専門医とともに、SDM(Staged Diabetes Management)の普及のための支援やインジェクションテクニックについての教育活動、世界糖尿病デーにおける社内教育やチャリティー活動など、多岐にわたるユニークな活動を展開しています。
3つ目の柱となる分野は、BD ハイパック™ガラス製プレフィル用シリンジです。日本での導入が本格的にスタートしたのは、福島工場での製造が開始した2000年です。プレフィルドシリンジは、インフルエンザのワクチンや増血ホルモン剤などに使用され、医療従事者の方たちの作業時間の削減や安全性の向上に大きく貢献しています。

医療従事者と患者さんの安全を守る医療機器

日本において、BD インサイト™ 静脈留置カテーテルの発売を開始したのは、1988年のことでした。当時の点滴治療は、金属針を静脈に挿入したまま固定して行っていました。
点滴のたびに抜き差しする針。さらに点滴の間中、腕を動かすことはほとんどできず、患者さんに大きな苦痛をもたらすものでした。BDが発売した留置針は、静脈挿入後、バイアロン製のやわらかいチューブだけが静脈に残るというもので、長時間にわたり挿入したまま置くことも可能となり、患者さんの静脈への負担は大幅に軽減したことは言うまでもありませんでした。
そして1980年代、血液を媒介として感染するHIV/AIDSが爆発的に世界に広まり、医療従事者にとって、針刺し損傷は命を脅かす深刻な問題となりました。1994年、日本でも世界初の針刺し防止機構付きシリンジ、BD セーフティロック™シリンジを発売開始しました。さらに2年後、BD インサイト™ オートガード™安全機構付き静脈留置カテーテルを発売し、BDの大きな柱である、「セーフティ」の啓発活動が本格的に始動し、安全器材のパイオニアとして、より広く認知を受けることになりました。
その後も医療の手技を根底から改善する、医療従事者および患者さん双方の安全を考慮した新しい閉鎖式輸液システム、インターリンク®システムを上市し、感染対策ではなくてはならない器材として成長を続け、現在では、新たなBD Qサイト™閉鎖式輸液システムを発売するに至っています。2010年には、末梢静脈へのアクセスおよび輸液管理を容易にし、オールインワンをコンセプトとした、感染対策に極めて有用なBD ネクシーバ™クローズド IVカテーテル システムを発売しました。医療従事者の皆様の安全や、患者さんのQOL(Quality of Life)の向上がしっかり守られるよう、私たちは医療機器を製造する立場から安全な医療の実現をサポートしていきます。


安全な医療の実現のための啓発活動

日本BDでは90年代から、医療従事者および患者さん双方への安全な医療の実現を目指し、安全な輸液管理や針刺し損傷防止などの感染防止セミナーを全国各地で開催してきました。90年代初めは、金属針での一日数回の末梢静脈輸液が一般的に行われていました。そのような状況下、輸液漏れや静脈炎、刺し替えなどによる患者さんの苦痛を軽減するために、米国輸液看護師協会(INS)の専門看護師とともに全国の医療機関を回り、静脈留置カテーテルによる安全な輸液管理などの啓発活動を実施しました。
95年以降は、米国バージニア大学で針刺し予防の調査研究を重ね、EPINet™*を開発したジェニーン・ジェーガー教授とともに、針刺し損傷防止に関する多くのセミナー活動を行いました。さらに、日本での針刺し損傷の実態を明確にするために研究会活動を開始し、EPINet™日本語版を発行しました。当初は、その実態や医療従事者の感染の事実が周知されていなかったせいか針刺し損傷防止の意識が低く、対策の必要性を理解されないこともあり、まして安全器材を導入する施設はほとんどありませんでした。そのような中でも、医療現場の実態と危険性を啓発する活動の中で、「目からウロコが落ちた」「針刺ししたが不注意を叱られるのが怖くて言えなかった」などの感想も寄せられ、安全な医療現場を求めている医療従事者の多さを実感することができました。
9 0年代前半は日本ではお金を出して「水」を買う人がまだ少なかったように、「安全性」を積極的に導入する施設は少数でしたが、それから約20年が経過した現在、自動販売機では何種類もの「水」が並び多くの人がお金を出して日常的に買う時代となりました。安全器材も同じように数多くの製品が市場に出され、各医療機関は安全な医療現場の実現のために積極的に導入しています。誰もが安心して受けられる安全な医療の実現、それが私たちの願いです。

*EPINet™(エピネット):針刺し・切創などの血液・体液曝露を記録し原因を追究するシステム

インスリン注射をより快適なものへ


緑のキャップのBD マイクロファインプラス™ 32G×4mmm Thin Wallは、
針の長さがペン型注入器の中で最も短い※4mmと、
これまでのような抵抗感や怖さを軽減させることが
期待される製品 ※2010年12月現在
1922年にEli Lilly社が世界で初めてインスリンの供給を開始した2年後に、BDは世界初インスリン専用の注射器を販売開始しました。以来、BDは患者さんにとって痛みが少なく、より快適な注射ができるよう研究を積み重ねてきました。1961年には世界初の使い捨て注射器販売を開始しました。日本国内でも1993年にはペン型注入器用注射針の販売を開始し、以降注射の負担を軽減するべく30G×8mm針、31G×8mm針、31G×5 mm針、32G×4mm針とイノベーションを続けてきました。毎日数回のインスリン注射を必要とする患者さんにとって注射を少しでも快適なものにしたい、それが我々の切なる思いです。
2010年に発売した極小ペン型注入器用注射針、BD マイクロファインプラス™ 32G×4mm ThinWallは、その極めて小さい形状が評価され、2010年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
製品の販売と並行して、1990年代から、BDは、糖尿病の専門医とともに、SDM(Staged Diabetes Management)の普及のための支援も続けてきました。2003年には、eSDM(インターネット版)の開設にも貢献しました。また、インスリン注射が安全で確実に行われるようインジェクションテクニックの教育活動も製品と同様、またはそれ以上に力を入れてきました。糖尿病治療に貢献できるよう、今後も一層の努力を続けていきます。

安全で効率的な治療に貢献する
ドラッグ・デリバリーシステム「プレフィルドシリンジ」


世界トップシェア製品、
BD ハイパック™ システムはグローバル製薬
企業のブロックバスター医薬品やワクチンなどに
採用されています


世界で唯一の経鼻投与インフルエンザワクチン
FluMistに採用された、BD アキュスプレー™
経鼻投与プレフィルデバイス
世界の注射用キット製品分野で採用実績No.1のプレフィルドシリンジ BD ハイパック™システム。この製品が世に出たのは、1954年にジョナス・ソーク博士が開発したポリオワクチンの臨床試験に採用されたのが最初です。以来、ポリオウイルスによる小児麻痺を発症する子供は激減した、という歴史があります。その後、インフルエンザワクチンをはじめとするワクチン製剤や、エリスロポエチン、抗リウマチ薬、インターフェロンに代表されるバイオ医薬品製剤など、様々な領域でBD ハイパック™ システムが採用されています。
また、世界で唯一の経鼻投与インフルエンザワクチンに採用されたBD アキュスプレー™、世界初の皮内投与インフルエンザワクチン用デバイスなど、常に革新的な製品を世界で最初に提供し続け、現在では世界のプレフィルドタイプの医薬品キット製剤の約70%以上にBD製品が採用されています。
日本においても、BD福島工場にて2000年よりBD ハイパック™ システムの製造を開始しており、国内大手製薬企業をはじめ、グローバルに展開する多くの製薬企業のバイオ医薬品・ワクチンなどに採用されています。
これらのドラッグ・デリバリーシステムは、予め決められた投与量の医薬品がシリンジに充填されているため、医療現場における注射製剤の調整ステップの削減を可能にし、投与量の間違いや薬剤調整時の汚染防止など、ヒヤリハットの削減に貢献します。また、投与直前に注射薬が目の前で開封されることで、患者さんにとっては常に清潔な医薬品が投与されることへの安心感も向上します。欧米に比べるとまだプレフィルドシリンジの普及率は低い日本ですが、今後の成長が大きく期待されています。私たちは、世界トップシェアの経験と高い技術力を活かし、革新的で高品質のドラッグ・デリバリーシステムの供給を通じて、患者さんの健康な暮らしのために貢献していきます。