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ペン型注入器用注射針の穿刺痛についての臨床研究結果

一般的に使用されている3種類の注射針に、痛みの差は認められなかった。
1型および2型糖尿病患者がインスリンを投与する際に一般的に使用されている3種のペン型インスリン注入器用注射針について、針の太さや形状によって痛みの差は認められない、という臨床結果報告が、12月25日号の「プラクティス 26巻1号」*(医歯薬出版)に掲載されました。

国家公務員共済組合連合会新小倉病院糖尿病センターの藤本良士氏らは、2006年7月〜2006年8月にかけて、3種類のペン型インスリン注入器用注射針(31ゲージ, 32ゲージ, 33ゲージ)を用いて、226人を対象に穿刺痛の研究を行いました。

国家公務員共済組合連合会新小倉病院糖尿病センターの藤本良士氏のコメント:
「今回の研究に用いられた3種の針は、太さも形状も異なっていたが、穿刺痛については、有意な差は認められませんでした。」

結論:31G/32G/33Gの間に穿刺痛の統計学的有意差はなかった

VASの結果 比較グラフ
図1 VASの結果

対象

内科阿部医院、および国家公務員共済組合連合会新小倉病院糖尿病センターを外来受診した糖尿病患者。

ペン型インスリン注入器を使用している1 型または2 型で、1日2 回以上インスリン注射をしている者。合計226 名。

方法

Visual Analog Scale(VAS)説明図
図3 Visual Analog Scale(VAS)
被験者は、試験管理者からBD31G、製品A 32G または製品B 33G が装着された空のペンを受け取り、腹部の所定位置(図2 区域(1)→(2)→(3)→(4)の順)にその場で穿刺した。

穿刺毎にその直後、被験者自らが穿刺痛の度合いを150mm のVAS に書き込んだ。VAS は“普段よりはるかに弱い痛み” を左端、“普段と同じ痛み” を中央、“普段より
はるかに強い痛み” を右端にとった(図3)。

3 種類の注射針の1 回ずつの穿刺を1 セットとし、これを4 セット繰り返した。

その他、穿刺や抜去の途中や針カバーの取り付けの際に注射針が変形した場合には、これを記録した。

結果

VAS 値の平均±SD(mm)はBD31G、製品A 32G、製品B 33G でそれぞれ57.7±39.8、57.0±38.8、57.0±39.7 で統計学的な有意差は認められなかった(P=0.859)。

また、VAS 値の分布も注射針の種類にかかわらずほぼ同様で、中央の“普段と同じ痛み” と“普段よりはるかに弱い痛み” に2 つのピークを示した(図1)。

また、穿刺後の針カバー取り付け時に針先が大きく曲がった事象が製品B 33G で9 例認められたが、その他の2 種類では認めなかった。

考察

針の種類別によるVAS 値には差が無くその分布も酷似し、2つのピークを示す分布も似ていた。これらの一致性は、針の種類で痛みに差がなく、痛点を穿刺する確率が同じだった結果であると考えられる。一般に穿刺時の痛みは注射針が細くなるほど軽減すると考えられており、より細い注射針の開発が行われてきた。

最近では注射針の長さや細さ、形状に加えて針の研磨方法、針とハブの接着方法、塗布されている潤滑剤が製品ごとに工夫されている。
本研究でもBD31G はストレート針、製品A 32G、製品B 33G はテーパー針であるが、針の細さや形状の違いにも関わらず3種類で穿刺痛に明らかな差が認められなかった。
穿刺痛は針の形状以外にも種々の要因が統合された製品性能に起因するものと考えられる。




主任研究者:藤本良士(国家公務員共済組合連合会新小倉病院糖尿病センター)
実施時期:平成18 年7 月3 日から平成18 年8 月24 日/症例数:226 名
出典:「ペン型インスリン注入器用注射針の穿刺痛に関する研究」藤本良士 et al. 国家公務員共済組合連合会新小倉病院糖尿病センター 投稿中

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