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プロンプトキット

K-B(Kirby-Bauer)法による接種菌の標準化が一段とグレードアップ
プロンプトキット製品写真
ディスク拡散抗菌剤感受性試験に用いられるK-B(Kirby-Bauer)法は、米国はもとより世界各国の臨床検査室で、感受性テストの標準法として高い信頼を得ています。このK-B法の優れた精度と再現性は、標準化した試料と方法に大きく左右されるため、接種菌の溶液濃度を一定の範囲内にすることが必要とされていました。そこで開発されたのが、BDのプロンプトキットです。培養時間および接種菌濃度の調整作業が不要になり、K-B法の接種操作を簡略化することができるようになりました。

●BDが独自に新開発したプロンプトキット
●培養や濁度調整をせずに、接種菌の濁度標準液を調整
●感受性テストにおける接種操作の効率化を実現
●NCCLS(現CLSI)基準をクリアする試験結果を獲得

カタログ番号 製品名 包装単位
226306 プロンプトキット 60セット

用途

ディスク法(Kirby-Bauer法:KB法)で抗菌薬感受性試験を行う際の菌液調製に用います。この製品は、Enterobacteriaceae、Staphylococcus spp.、Pseudomonas aeruginosaAcinetobacter spp.、 腸球菌、および一部のレンサ球菌を含む発育の速い菌や、Haemophilus influenzae などにも使用できます。


概要と説明

KB法は、寒天ゲル・ディスク拡散原理を利用して抗菌薬感受性を測定するための標準法です。(1-3) この方法は、米国臨床検査標準委員会(CLSI :旧NCCLS)が合意した標準法として認めており、その方法と阻止円径の解釈基準は、定期的に検討、更新されています。(4)

接種にあたって被検菌の濃度調整を適切に行うことは、KB法で正確な結果を得るための、重要な要件の一つです。(2‐5) 当初KB法には、対数増殖期の培養菌を調製したものが用いられていました。従って、必要な接種菌濃度(0.5マクファーランド濃度相当:約1×108個/mL)を得るのに、数時間の培養が必要でした。(3‐5) その後いくつかの研究により、事前の増菌培養を行うことなく、被検菌を純培養した固形培地から、直接菌液を調製しても差し支えないことが確認されました。(5-7) 直接、接種菌液を調製して接種濃度を得ることは、培養液中でゆっくり発育する栄養要求の厳しい菌でも迅速な調整が可能で、望ましい方法と言えます。CLSI 抗菌薬ディスク感受性試験の性能標準には、ヘモフィルス検査培地(HTM)を用いたHaemophilus属のための試験法が述べられています。(4,8) 尚、この方法では、接種菌を0.5マクファーランド濃度に合わせるために、濁度測定のための光学的な測定器具の使用を推奨しています。

プロンプトキットは接種前の増菌培養なしで、接種菌液を直接調整することができるキットです。(9-11) プロンプトキットはルーチン検査に非常に適しており、(4)  KB法におけるHaemophilus属の接種菌液調製にも、十分使用可能であることが報告されています。(12)


原理

プロンプトキットのプロンプト接種棒の先端で、純培養したコロニー数個をつつくように採取し、プロンプト接種チューブ(生理食塩水入りチューブ)に入れます。ボルテックス等で攪拌して、採取した菌を生理食塩水に浮遊させます。これで、ほとんどの菌の接種菌液が約1.5×108個/mLに調整されます。これは、0.5マクファーランド濃度標準に合わせて調整した接種菌濃度に等しい濃度です。(4)  標準法と比較した場合、感受性試験結果の一致率は95%以上です。(11)
注) 調製後6時間以内に使用してください。
H. influenzaeの場合は、調製後3時間以内に使用してください。
プロンプトキットは、増菌培養、および手作業での接種菌濃度調整が不必要なので、固形培地への菌接種が容易です。


製品仕様

本製品は、プロンプト接種棒(接種棒)とプロンプト接種チューブで構成されています。 接種棒は、先端の接触を避けるように配置されているポリプロピレン製の棒です。接種棒の先端には平行線のみぞが刻まれており、一定数の細菌を捕らえられるようにデザインされています。細菌を浮遊させる溶液は1mLの滅菌生理食塩水で、キャップ付のプラスチック製チューブに入っています。


使用上の注意

  1. コロニーは、培養24時間以内の固形培地から採取してください。
  2. 接種棒はポリプロピレンなので火に当てないでください。当てると溶けてしまいます。
  3. 雑菌汚染を避けるため、接種棒のツバの部分より下を指で触れないでください。
  4. 使用しないときは、接種棒の配置された箱のフタを閉めてください。
  5. コロニーが非常に小さい(直径0.5mm未満)場合は、使用しないでください。
  6. パッケージに記載の有効期限を過ぎた製品は使用しないでください。
  7. 製品劣化の可能性があるので、チューブやキャップの割れ、また、生理食塩水が濁っているプロンプト接種チューブを使用しないでください。 
  8. 検体の採取および輸送は、注意して採取し、十分な生菌数を維持できるような環境下で輸送してください。


微生物学的汚染を防ぐために、検査中は適切な予防措置を行ってください。使用後は、プロンプト接種チューブとプロンプト接種棒、およびその他の汚染器材をオートクレーブで滅菌してください。


操作方法

構成品: プロンプト接種棒 62本、プロンプト接種チューブ(滅菌生理的食塩水入り) 60本          
本製品以外に準備する器材: 感受性試験に使用する固形培地、精度管理用菌株、その他必要と考えられる試薬、機器等

A. 菌液の調製
  1. 必要な数のプロンプト接種チューブを箱から取り出し、試験管立てに立ます。
  2. プロンプト接種棒を箱から取り出します。
  3. プロンプト接種棒の先端が寒天表面に対し垂直になるように持ち、直径1mm以上の分離コロニー5個をつつく様に触れます。(プロンプト接種棒の先端は直径2mmです。)
    注) 寒天を突き刺したり、プロンプト接種棒先端でコロニーをひっかいたり、引きずったりしないでください。
    注) コロニーが小さい(直径0.5mm〜1mm)場合、触れるコロニーは5個でなく更に多くしてください(10個位)。非常に小さいコロニーは、直径が約0.5mm〜1mmになるまで培養を続けてください。コロニーの直径が0.5mmになりそうにない場合(一部のレンサ球菌など)は、別の方法を用いて接種菌液を調製してください。
  4. 片手でプロンプト接種棒を持ちながら、プロンプト接種チューブを試験管立てから取り出します。
  5. プロンプト接種チューブのキャップを、片側に曲げてねじり取ります。
  6. プロンプト接種棒をチューブに入れ、ねじるように動かしながら押し下げ確実に密封します。
  7. プロンプト接種チューブを10秒間強くボルテックス等で攪拌し、接種棒先端から被検菌を振り落とします。菌が接種棒から落ちない場合は、そのまま数分間静置した後、再度ボルテックス等で攪拌してください。
  8. すべてのプロンプト接種チューブで2〜7の手順を行います。
  9. 菌液は調製後6時間以内に使用してください。調製後すぐに使用しない場合は、使用直前に強く振って菌を再浮遊させてください。H. influenzae は、調製後3時間以内に使用してください。


B. ミューラー・ヒントン寒天培地あるいはHTM寒天培地への接種
  1. プロンプト接種棒をチューブから取り出します。取り出したプロンプト接種棒は、滅菌用の適切な容器に廃棄します。
  2. 滅菌綿棒を菌液に浸します。 液面より上のチューブ内壁にスワブを数回しっかりと押しつけながら回転させ、余分な水分を除きます。
  3. 培地に画線塗抹し、感受性試験を進めます。(4)


ユーザーによる精度管理: プロンプトキットは、さまざまな細菌検査に使用可能です。CLSIに定められた精度管理用菌株を用いた場合、CLSIの基準に適合する結果が得られます。(4)


方法の限界

  1. コロニーサイズが直径0.5mm未満の場合は使用しないでください。0.5mmサイズのコロニーが得られない細菌として、腸球菌、S. bovisS. agalactiae(B群)以外のStreptococcus spp.などがあります。
    小さすぎるコロニーを採取すると接種菌濃度が低くなり、耐性菌が感性と判定される可能性があります。直径0.5mm未満のコロニーに関しては、別の方法で接種菌液の調製を行ってください。
  2. KlebsiellaPseudomonasの様にムコ多糖を産生する菌は、コロニーを採取しようとしても、接種棒に付着しないことがあります。これは目視で確認可能です。このような菌に対しては、別の方法で接種菌液を調製してください。



性能特性

プロンプトキットで調製した接種菌液で得られた感受性試験結果300件と、CLSI標準法に従って調製した接種菌液で得られた結果を比較しました。(11) 検査した菌数の割合は、属としてEscherichia (16.7%)、Klebsiella (10%)、Proteus (14.7%)、Providencia (8%)、Morganella(4%)、Enterobacter (8.7%)、Serratia (4.7%)、Pseudomonas (6.7%)、Staphylococcus (12.7%)、腸球菌(8.7%)、およびその他のD群とB群の Streptococcus (5.3%)でした。CLSI標準法に従って接種を行ったディスク感受性試験と、プロンプトキットを用いた方法との判定の一致率は、薬剤/菌の組み合わせ3,578組で97.0%でした。調製後6時間放置した場合、阻止円径に有意な差が認められましたが、全体的な判定の一致率は検査した薬剤/菌の組み合わせ1,187組で97.9%でした。グラム陰性菌とグラム陽性菌742株全体の平均数は、1.85×108 CFU (95%信頼区間:4.66×107〜7.36×108 CFU)でした。(11) 14株の H. influenzae を用いた別の研究では、新しく調製した菌液の平均濃度は、1.5±0.1×108 CFU/mLでした。室温で3時間経過した後の濃度は、0.7±0.2×108 CFU/mLでした。(13) 本研究では、全体的な一致率は、光学的な測定器具と比較した場合が98.4%で、目視によるマクファーランド標準法との比較では97.9%でした。(13)


貯法

27℃以下で保管してください。


参考資料

  1. Bauer, A.W., W.M.M. Kirby, J.C. Sherris, and M. Turck. 1966. Antibiotic
    susceptibility testing by a standardized single disk method. Am. J. Clin.
    Pathol. 45:493 496.
  2. Ericsson, H.M., and J.C. Sherris. 1971. Antibiotic sensitivity testing. Report of
    an international collaborative study. Acta. Pathol. Microbiol. Scand. Sec. B,
    Suppl. 217:1-90.
  3. Thornsberry, C., T.L. Gavan, E.H. Gerlach. 1977. Cumitech 6, New
    developments in antimicrobial agent susceptibility testing. Coordinating ed.,
    J.C. Sherris. American Society for Microbiology, Washington, D.C.
  4. National Committee for Clinical Laboratory Standards. 2003. Approved
    standard: M2-A8. Performance standards for antimicrobial disk susceptibility
    tests, 8th ed. National Committee for Clinical Laboratory Standards, Wayne,
    Pa.
  5. Barry, A.L., and C. Thornsberry. 1985. Susceptibility tests: diffusion test
    procedures, p. 978-987. In E.H. Lennette, A. Balows, W.J. Hausler, Jr., and H.J.
    Shadomy (ed.), Manual of clinical microbiology, 4th ed. American Society for
    Microbiology, Washington, D.C.
  6. Barry, A.L., L.J. Joyce, A.P. Adams, and E.J. Benner. 1973. Rapid determination
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    J. Clin. Microbiol. 25:2105-2113.
  9. Baker, C.N., C. Thornsberry, and R.W. Hawkinson. 1983. Inoculum
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  12. Marsik, F., G. Evans, J. Fowler, and L. Thompson. 1989. Comparison of the
    BBL™ Prompt™ system, Abbott A-JUST™ and visual method for the
    preparation of Haemophilus influenzae inoculum for the Bauer-Kirby
    procedure. Abstr. Annu. Meet. Am. Soc. Microbiol. C-67, p. 404.
  13. Data on file at BD Diagnostics.