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『BD Rota/Adeno エグザマン™ スティック』 FAQ

2011年10月1日更新

はじめに

『BD Rota/Adeno エグザマンスティック』について

『BD Rota/Adeno エグザマン スティック』は、糞便中のロタウイルス抗原およびアデノウイルス抗原と特異的に反応するモノクローナル抗体を用いた、イムノクロマトグラフィー法を原理とする抗原検出用試薬です。1本のスティック上に、ロタウイルス抗原およびアデノウイルス抗原に対する抗体が固相されているため、両ウイルスを同時に測定することが可能です。

ロタウイルスについて

ロタウイルスはレオウイルス科ロタウイルス属のRNAウイルスで、内殻タンパク質であるVP6の抗原性によりA〜G群に分類され、外殻タンパク質であるVP7およびVP4の抗原性の違いによってG血清型およびP遺伝子型に分類されています。ヒトに感染するのはA、B、C群ですが、主にヒトから検出されるロタウイルスはA群で、高頻度に検出される血清型はG1P[8], G2P[4], G3P[8], G4P[8], G9P[8]の5つです。
主に3歳未満の乳幼児に重症な胃腸炎を引き起こし、脱水により入院加療を必要とすることも多くあります。生後6ヶ月から2歳をピークに、5歳までに95%以上の乳児が感染し発症すると言われています。また、2歳以下でおよそ2%にけいれん、髄膜炎、脳症など神経症状の合併症を伴うことがあります。発症初期に嘔吐、発熱、その後下痢を伴い、通常は1週間くらいの経過で回復します。流行は冬季12月から5月で特に2月から4月にかけてピークとなります。感染力が強く、接触および飛沫感染で伝播するため、保育園、幼稚園や小児病棟内でたびたび流行を引き起こします。治療は、抗ウイルス薬などの特異的治療薬はなく、輸液を施して脱水症状からの回復に努めます。1)

アデノウイルスについて

アデノウイルスはアデノウイルス科のDNAウイルスで、DNAに基づいてA〜Fの6つの亜群に分類され、ヒトに感染するものでは40種類以上の血清型が知られています。糞便からは、多種類のアデノウイルスが分離されますが、胃腸炎症例から頻繁に検出される血清型は40型、41型です。
これらを腸管アデノウイルスと呼び、下痢、発熱、嘔吐などの症状をもたらします。アデノウイルスによる乳幼児胃腸炎は2歳以下の乳幼児に多くみられ、冬季に好発するロタウイルス胃腸炎とは異なり季節に関係なく通年性に発生が認められ、また乳幼児の育児施設において集団発生することがあります。
7型アデノウイルスでは急性呼吸器感染症、咽頭結膜熱、胃腸炎が認められ、肺炎が合併すると重症化し、合併症のある小児では死亡率が高くなることが報告されています。2)

検査の原理

イムノクロマトグラフィー法により便中のアデノウイルス抗原およびロタウイルス抗原を検出します。
調製検体にスティックを浸すと、検体中のアデノウイルス抗原は、パッド中の青色ラテックス標識抗アデノウイルスマウスモノクローナル抗体と結合し、免疫複合体を形成します。また、検体中のロタウイルス抗原はパッド中の赤色ラテックス標識抗ロタウイルスマウスモノクローナル抗体と結合し、免疫複合体を形成します。
この免疫複合体は毛細管現象により移動し、スティック上の固相化された捕捉抗体に捕捉されます。検体中にアデノウイルスが存在する場合は青色のライン、検体中にロタウイルス抗原が存在する場合は赤色のラインが現れます。
このラインを目視により観察し、ロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原の検出を行います。また、コントロールラインには緑色ラテックス標識コントロール蛋白抗体が使用されており、ロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原の有無に関わらず、スティック上に固相化された補足抗体に補足され、緑色のラインが現れます。
検査の原理図解

1. 製品について


製品の保存温度および有効期間を教えてください。

キットの保存温度(貯蔵方法)は2〜30℃です。有効期間は24ヶ月です。使用期限は試薬の外箱に記載してあります。


スティックは、容器から取り出した後どのくらいの時間まで検査が可能ですか?

スティックは湿気による影響を受けやすいため、取り出した後は速やかにご使用ください。
またスティックを取り出した後は容器の蓋を速やかにしっかりと閉めてください。


各ウイルスのどの部分を検出しているのですか?

アデノウイルスの標的抗原はヘキソンというタンパク質で、B亜属Serotype3および7、F亜属Serotype40および41を検出することができます。

ロタウイルスの標的抗原はVP6という内殻タンパク質です。VP6の抗原性によりロタウイルスはA群からG群に区別されていますが、本キットで反応性が確認されている血清型は、A群G Serotype1および3です。

尚、本キットの反応性が確認されている血清型の詳細については添付文書をご確認ください。


2. 検体について


検査に使用できる検体の種類は?

糞便検体および直腸スワブ検体を用います。それら以外の検体での検査は行えません。


検査に使用する便の量はどのくらいですか? また便の採取方法を教えてください。

検査には水様便、固形便、直腸スワブが使用できます。

  1. 水様便の場合、検査に必要な便の量は100μL です。
    付属の綿棒に水様便を染み込ませます。綿棒に水様便を染み込ませた場合、およそ100〜160mg検体が採取できます。
  2. 固形便の場合、検査に必要な便の量は30〜50mgです。
    付属の綿棒を使用して、5〜6mmの小片を採取してください。
  3. 直腸スワブの場合は、検査に必要な便の量は100μL です。
    付属の綿棒を使用して、患者肛門に綿球部が隠れる程度、軽く回しながら綿棒を挿入し、糞便を採取します。付属の綿棒を使用した場合およそ100〜160mg採取できます。


検体採取時期によってウイルス量は異なりますか?

検体は発症後できるだけ早く採取することをお勧めします。症状が現れてから1週間後にはウイルス粒子が減少し始めることをご留意ください。


付属の抽出試薬以外で検体調製をすることができますか?

付属の抽出試薬は、抗原を溶出し、イムノクロマトグラフィーにおいて抗原成分、抗体成分を運搬するクロマト展開剤の役割を果たすと同時に、蛋白質などが展開層に非特異的に吸着するのを防止します。

『BD Rota/Adeno エグザマン スティック』の抽出試薬は、最高の感度と特異性を発揮できるよう特別に調製された試薬です。抽出試薬を使用せずに水や生理食塩水など他の液を使用した場合、正しい結果が得られないことがありますので、必ず付属の抽出試薬を使用し、添付文書の記載に従って正しく検査を行ってください。


検体の保存方法は?


検体採取後、すぐに測定できない場合は冷蔵庫(2〜8℃)で保存してください。また、やむを得ず24時間以上保存の必要がある場合は凍結保存してください。保存検体を使用する際は、室内温度に戻し、検体を均一にしてから検査に用いてください。


3. 検査について


検査手順を教えてください。


検査手順はこちらをご参照ください。


スティックを試料に浸したにも関わらず、何もラインが現れなかった場合、スティックを再利用する事はできますか?

できません。一度試料に浸すとコンジュゲートパッド中の標識抗体が溶出してしまうからです。必ず新しいスティック用いて検査を行ってください。


便検体または綿棒検体に血液が混じってしまいましたが、検査に影響ないでしょうか?

ロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原添加陽性検体及び陰性検体に各妨害物質を添加して試験したところ、下記の濃度で測定結果に影響は認められませんでした。

妨害物資測定検体中濃度
ビリルビンF約1.0 mg/mL
ビリルビンC約1.0 mg/mL
溶血ヘモグロビン約25 mg/mL
乳び約5000 ホルマジン濁度※

※ホルマジン濁度:水の濁りの程度を示す指標で、水1L中にホルマジン1mgを 含む時の濁りに相当するものを1ホルマジン濁度として表します。


4. 判定について


判定時間は何分ですか?また、試料滴下後5分経過前に判定ラインが現れた場合は、その時点で陽性と判定してもよいですか?

判定は5〜10分間で行ってください。
また、5分経過前に判定ラインが現れた場合でも、判定は5〜10分間で行ってください。5分以内の場合、イムノクロマト展開が不充分で正しい検査結果が得られない場合があります。


判定時間である10分を経過してからの判定はできますか?

スティックに試料を吸収させた後、スティックを長時間放置しておくと、非特異なラインが現れたり、逆にラインが薄くなったりする可能性があります。従って、判定はスティックに試料を吸収させた後10分後までに行い、長時間放置したスティックを用いての判定は行わないで下さい。


コントロールラインが薄い場合の判定方法を教えてください。

コントロールラインは薄くても緑色のラインを肉眼で確認できれば、コントロールラインが出現したと判断してください。


コントロールラインが出現しない場合の判定を教えてください。

コントロールラインが出現しない場合は判定不能です。その場合は、再度検査を行ってください。


判定ラインが薄い場合の判定を教えてください。

抗原量が少なく検出限界に近い場合には測定において色が不明瞭なラインが現れます。ほとんどの場合、これは陰性を示しています。判定は十分に明るいところで、観察して行ってください。


判定ラインが茶色くなり判定できない場合はどうしたらいいですか?その場合の操作手順を教えてください。


検体が過剰な場合、判定ラインが茶色くなり判定できない場合があります。抽出試薬の量を多くして、再度検査を行って下さい。


赤、青の両方の判定ラインが出現したときは、どのように判定したらいいですか?

緑のコントロールライン、青および赤の判定ラインが出現した場合、アデノウイルス陽性およびロタウイルス陽性と判定します。


5. その他


最小検出感度は?

精製ロタウイルス抗原及び精製アデノウイルスヘキソン抗原を用いるとき、その最小検出感度は各々31ng/mLです。


感度、特異性を教えてください。

本製品と対照品2製品(他社免疫クロマトグラフィー法既承認品およびELISA法既承認品)との相関性は陽性一致率、陰性一致率、全体一致率において各々90%以上を示すデータを得ました。詳細は添付文書の記載をご参照ください。


交差反応性について、確認されていますか?

交差反応性について、細菌23株、ウイルス8株を用いて評価し、いずれの病原微生物に対しても交差反応は示しませんでした。詳細は添付文書の記載をご参照ください。


「ELISA法」を用いた便中抗原検査とどう違うのですか?

ELISA法を用いた便中抗原検査は検出原理が以下の点で異なります。

  1. ELISA法はモノクローナル抗体を固相化したマイクロプレートを用います。
    ⇒本キットではモノクローナル抗体を固相化したスティックを用います。
  2. ELISA法は酵素反応で標識を発色させるため基質や反応停止液など複数の試薬が必要です。
    ⇒本キットでは、付属の抽出試薬のみを利用し、複数の試薬は不要で、簡便な検査が可能です。
  3. ELISA法は洗浄操作が必要で、操作ステップも多く、時間が1時間以上かかります。プレートリーダーも必要です。
    ⇒本キットは、検体調製後、スティック受け、スティックを浸すだけの簡単操作で、判定までの時間が静置後5〜10分と短時間です。
  4. ELISA法は試薬を冷蔵で保存しなければなりません。
    ⇒本キットは室温(2〜30℃)保存が可能です。


『BD Rota/Adeno エグザマン スティック』で検査した場合の保険点数は何点ですか?

「D012 感染症免疫学的検査※1」 ロタウイルス抗原 65点  アデノウイルス抗原(定性)60点
※1免疫学的検査判断料 144点
ただし、同時に測定した場合は、主たる検査の所定点数のみ算定することができます。


『BD Rota/Adeno エグザマン スティック』で検査した後のテストチューブ等はどのように廃棄したらいいですか?

廃液、使用済み器具などは感染の危険性があるため、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度1000ppm、2時間以上浸漬)又はグルタールアルデヒド(2%、1時間以上浸漬)による消毒処理あるいは、オートクレーブ(121℃、20分以上)による滅菌処理を行った後、廃棄してください。ただし、医療廃棄物として廃棄される場合は、滅菌処理は不要です。


参考文献

【参考文献】
1) 山西弘一編:標準微生物学第9版.(株)医学書院 東京 2005, pp. 438-447
2) 山西弘一編:標準微生物学第9版.(株)医学書院 東京 2005, pp. 532-536