はじめに
制御性T細胞とは
免疫系は、病原微生物や外来抗原を異物として認識し、排除するための免疫応答機構を備えています。また、同時に、異常あるいは過剰な免疫応答を抑制するための負の制御機構を備えています。CD4+CD25+制御性T細胞(regulatory T cell; Treg)は、末梢におけるこの負の制御を担い、免疫自己寛容や免疫学的恒常性の維持において重要な役割を果たしています。
例えば、Tregの異常が多発性硬化症、活性型リウマチ、1型糖尿病などの自己免疫疾患に関係していたり、肺がん、すい臓がん、乳がん等の臓器悪性腫瘍において Tregが高い値になっていることが示されています。
CD4とCD8 Tregs
近年、CD4, CD8による2種類のTregに分類されています。さらにCD4 Tregは定常的にCD25とFoxP3を発現している”natural” Tregs(nTregs)と能動的あるいは誘導的Treg(iTregs) に分類されています。nTregは、胸腺由来CD4+細胞で、total CD4+T細胞の約5-10%存在しています。nTreg発生に関与するシグナルについては、胸腺ストローマ細胞上の自己抗原ペプチドとMHC II 複合体とT Cell Receptor との相互作用に由来しています。nTregsはサイトカインに非依存性でもあります。誘導性Tregは、胸腺CD4 single positive 細胞に由来します。同種抗原およびTGF-β, IL-10, IL-4など特定の免疫制御性サイトカイン存在下、適切な抗原刺激により、CD25およびFoxP3を分化と同時に発現します。
Tregと転写因子Foxp3
マウスの研究により、転写因子FOXP3がTregのマスター制御因子であることが明らかとなり、続いてヒトにおいてもCD4+CD25highT細胞群にFOXP3が特異的に発現し、分化や機能を司っていることが明らかとなりました。FoxP3 は現在、Tregの最も代表的なマーカーとなっています。また最近では、このFOXP3によって制御される遺伝子群について網羅的解析が行われ(Sugimoto et al,. 2006)、cytotoxic T-lymphocyte associated protein4(CTLA-4)やinterleukin(IL)-10、LAG3、Granzyme, transforming growth factor beta(TGFβ)などTregの免疫抑制に関与する様々な分子が示されてきています。
Treg の主な免疫抑制機能
・CTLA-4を介する(による)樹上細胞上CD80/86との接着を競合的に妨げるメカニズム
・IL-2消費などによる代謝を介する抑制メカニズム
・抑制性サイトカインIL-10 TGF-βなどによる抑制
・細胞傷害性物質分泌による抑制メカニズム
Tregの可能性
Tregによる自己反応性T細胞の活性および増殖抑制、移植拒絶反応の抑制、自己由来腫瘍細胞 やアレルゲン、微生物などに対する免疫反応など、免疫応答全般に対する抑制活性など、その抑制メカニズムの理解は、新たな治療法や予防医学へとつながる可能性があり、その成果が期待されています。
制御性T細胞の濃縮、分取 – CD127を用いた新しいアプローチ
参考文献
- Liu W, Putnam AL, Xu-yu Z, Szot GL, Lee MR, Zhu S, Gottlieb PA, Kapranov P, Gingeras TR, Fazekas de St Groth B, Clayberger C, Soper D, Ziegler S, and Bluestone JA. CD127 expression inversely correlates with FoxP3 and suppressive function of human CD4+ Tregs J. Exp. Med. 2006; manuscript submitted.
- Hofmeister R, Khaled AR, Benbernou N et al. Interleukin-7: Physiological roles and mechanism of action. Cytokine Growth Factor Rev. 1999;10:41.
- Appasamy PM. Biological and clinical implications of interleukin-7 and lymphopoiesis. Cytokines Cell Mol Ther. 1999; 5:25.
- Fitzgerald KA, O’Neill LAJ, Gearing AJH et al. eds. The Cytokine Facts Book, San Diego: Academic press, Inc., 2001
制御性T細胞 関連試薬製品
BDバイオサイエンスでは制御性T細胞の研究をサポートする便利で優れた製品をご提供しています。
□転写因子 Fox3 関連製品
Human Foxp3(クローン: 259D/C7)
・ヒトFoxp3の識別に定評のあるクローン:259D/C7による抗体製品です
・細胞内検出に適したAlexa Fluor 488, Alexa Fluor 647 等、多種類の蛍光標識抗体製品を揃えています。
・核内Foxp3へ確実に抗体を結合させるために独自に開発された細胞膜処理バッファー製品 (Human FoxP3 Buffer Setカタログ番号560098)を用いることにより、信頼性のある結果が得られます。
<測定例>
ヒト末梢血単核細胞表面をCD4(FITC or PE)clone RPA-T4(Cat.No. 555346,555347)およびCD25(PE or APC)clone 2A3 or M-A251(Cat.No. 555432, 340939)抗体で染色し、Human Fox3 Buffer Set(Cat.No. 560098)を用いて10分細胞固定後、30分細胞膜浸透化処理を行い、最後にhuman FoxP3(clone 259D/C7)(Cat.No.560045,560047,560046,560460)で染色した。リンパ球ゲートで50000イベント取り込みを行い、CD4+ceills ゲートによるCD25 / FoxP3 プロット。
<Human FoxP3 Buffer Set を用いたサンプル調製方法>
(1)細胞表面マーカー用抗体を反応させた細胞浮遊液(1.2x106 cells)にBuffer A(x1)を2 mL添加、室温暗所で10分間インキュベーション
↓
(2)遠心後、上清除去
↓
(3)FBS加PBS 2mLを加え遠心後、上清除去
↓
(4)Buffer C(A:B=49:1)を0.5mL添加後、室温暗所で30分間インキュベーション
↓
(5)FBS加PBS 2mLを加え遠心後、上清除去
↓
(6)細胞をFBS加PBS0.1mLに浮遊し、抗ヒトFoxP3 20μLを添加し室温暗所で30分インキュベーション
Rat Anti-Mouse CD4(PE, APC, FITC)clone: RM4-5(Cat. No. 553048, 553051,553047)でBALB/cマウス脾臓細胞の表面抗原を染色し、Mouse Foxp3 染色専用の調製用試薬であるBD Mouse Foxp3 Buffer Set(Cat.No. 560409)で細胞膜透過処理を行った後、Rat Anti-Mouse Foxp3(Alexa Fluor® 488 Cat# 560403, 0.12μg/test, PE Cat# 560408, 0.25μg/test, AlexaFluor® 647 Cat# 560401, 0.03μg/test)を用いて細胞内のFoxp3を染色し、BD FACSCalibur™で測定した。プロットのゲートは、散乱光プロットで設定したリンパ球ゲートを用いた。
Mouse Foxp3 : クローン:MF23
・クローン:MF23は制御性T細胞研究の先駆者でもある京都大学再生研究所生体機能調節学 坂口志文先生よりライセンスを供与いただいたクローンです。
・マウスFoxp3検出に適した細胞膜固定・浸透処理バッファーMouse Foxp3 BufferSet
(カタログ番号 560409)を開発しました。一緒にご使用いただくことにより高感度な測定が実現します。
□ヒト制御性T細胞マーカー CD4, CD25, CD127抗体製品
□ヒト制御性T細胞ソーティングキット
ヒト制御性T細胞ソーティングキット
CD4+CD25+CD127Low Positive ヒト制御性T細胞を生きたままソーティングするのに便利な試薬キットです。蛍光補正用のシングル抗体もセットされています。
□ヒト制御性T細胞カクテル試薬
ヒト制御性T細胞カクテル試薬
あらかじめ抗体濃度調整がされており、すぐに細胞を染色、解析することができます。
□ヒト制御性T細胞 その他関連マーカー抗体製品
<細胞表面マーカー>CD45RA, CD45RB, CD45RO, CD62L, CD103, CD134(OX40), CD137 (4-1BB), CD152(CD40L), CD184(CXCR4, Fusin), CD194(CCR4), CD197(CCR7), CD279 (PD-1), HLA-DR
各種、蛍光色素標識抗体等を取り揃えています。
<細胞内マーカー>IL-2, IL-10, IL17A, IL-17F, Stat5(pY694), Stat5, Stat5a, TGF-β1
各種、蛍光色素標識抗体等を取り揃えています。
□マウス制御性T細胞マーカー CD4, CD25, CD127抗体製品
□マウス制御性T細胞 その他関連マーカー抗体製品
<細胞表面マーカー>CD45RA, CD45RB, CD62L, CD103, CD134, CD137, CD152, CD184, CD197(CCR7), CD279 (PD-1), GITR
各種、蛍光色素標識抗体等を取り揃えています。
<細胞内マーカー>IL-2, IL-10, IL17A, IL-17F, Stat5(pY694), Stat5, Stat5a, TGF-β1
各種、蛍光色素標識抗体等を取り揃えています。
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