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リスクマネージメントは看護師がリードする

リビング名古屋(西南) 2003年1月18日

中部労災病院 看護副部長 三宅峰子さん

【Profile】
聖華高等看護学院卒業。
香川労災病院勤務を経て、中部労災病院看護副部長に。日本看護協会リスクマネージャー養成研修1・2受講。

自分の健康は自分で守る時代。何もかも医者にお任せというのではなく、病院とも対等に付き合いたいものですね。信頼できる地域の病院を選ぶポイントはナニ?病院の安全管理対策や具体的な体制作りなどについて、前回に続いて中部労災病院の場合を、看護副部長の三宅峰子さんに聞きました。

新病院完成の前に組織作り 日本看護協会の養成研修受講

—   新しい病院に建て替わるそうですね。

A 今年着工して、5年以内に新しい病院ができあがる予定です。そのハード面での完成を前に、病院内の組織をきちんと作り直そうと、今改革中です。
安全対策に関する取り組みは、すでに平成5年から看護部独自に進めてきていますが、病院全体で取り組むようになったのは12年から。看護師は直接患者さんと触れ合っていますから、ヒヤリとしたこと、ハッとしたこと(ヒヤリ・ハット)は毎日のように起こります。一番危機感を持っているのは、看護師ではないでしょうか。


—   三宅さんは病院内のリスクマネージャーでもあるわけですよね。

A 日本看護協会が行っているリスクマネージャー養成研修を受講、資格をとって病院内の安全対策に関する組織作りに力を注いできました。組織はしっかりできあがってきたと思います。特に所属部署を超えて横断的に動けるようになりました。何か起こったら、リスクマネージャーの私は病院のどこにでも入り込んでいきます。みんな協力してくれています。

ヒヤリ・ハットの報告と情報の共有 看護部から広がる意識改革

—     具体的な取り組みは?

A 安全対策の第一歩は、報告システムを確立して情報を共有すること。どんなに機械や医学が進歩しても、人間のやることですからミスは起こます。でも大きなことが起こる前に止める、起きたことを隠さないことが大事です。
最近、看護部の提出するレポートや事故報告書の量が今までの3倍になりました。それに刺激されてか、ほかの職種の人たちの意識も変わってきたと思います。例えば、事務職の人は今まで安全対策には関係ないと思っていたようですが、患者さんから見れば病院で働いている人はみんな同じ病院の人ですからね。
安全対策のキーワードは職員の意識改革でしょうか。看護師は黙って看護のことだけをしていればいい、というのは昔のこと。これからは自分の意志をもって、ドクターとも対等に患者さんに接していかないといけません。


—   病院を支えているのは看護師さんたちですからね。

A 看護師の守備範囲はとてつもなく広いのですが、その中で自分が何をしたいのか、自分探しをしながらみんなとても勉強しています。専門職として、一生勉強していきたいと意欲がある人が多いのです。
この病院にも、認定看護師資格を取得した看護師が2人います。看護師以外の職種の人で救命救急士の資格を取った人もいて、早速、病院内で働くすべての人たちを対象に、救急救命の勉強会を開くなど、病院全体のレベルアップにもつながっていると思います。