今日、新しい耐性因子の出現と蔓延が世界的な問題となっている。カルバペネム分解酵素を産生する大腸菌や肺炎桿菌、緑膿菌、アシネトバクター属菌などの検出が求められているが、その検出は容易ではない。その理由として、カルバペネム分解酵素の中にカルバペネム系薬に感性を示す菌株が少なくないことが挙げられる。したがって、カルバペネム系薬以外の抗菌薬でカルバペネム分解酵素産生株を検出することが求められる。
最近の診断技術の進歩により、検体を採取して30分以内で抗菌薬を処方する前に診断ができるような技術が普及してきた。肺炎球菌やレジオネラの尿中抗原検査に加えてマイクプラズマを対象としたイムノクロマトグラフィー法が臨床応用されている。次世代の診断技術として、核酸増幅技術を用いて30分以内に特定菌種と耐性遺伝子を検出する方法も開発されている。これまでの感染症の検査法は、検体採取から診断まで1週間程度要していたため、経験的な抗菌薬投与が余儀なくされていた。今後は、初診時から、よりSpecific且つDefinitiveな治療を可能にする検査技術が開発され、臨床応用されることが期待される。
本発表では、カルバペネム分解酵素産生菌と基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌に焦点を当て、その最新情報を提供するとともに、現在利用できる検査技術を解説するとともに今後の方向性について考察する。