医療関係者向けのページです

第46回日本集中治療医学会学術集会
教育セミナー(ランチョン)3

開催地 京都
会場 第3会場(国立京都国際会館 1F アネックスホール1)
開催日時 2019年3月1日(金) 12:40~13:40
備考 本セミナーは整理券制です。
配布日時:3月1日(金)7:50~12:10
発券機設置場所:
国立京都国際会館 ニューホール参加受付付近/正面玄関入ってすぐの通路
グランドプリンスホテル京都B2Fホワイエ参加受付付近

※ 整理券は当日分のみ先着順で配布します。
※ 教育セミナーは整理券をお持ちの方より優先的にご入場いただきますが、
  整理券はセミナー開始をもって無効となりますので、ご注意ください。

共催:第46回日本集中治療医学会学術集会/日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

血液培養のチカラ
医師が引き出すチカラ/検査技師が引き出すチカラ

座長:
井上 茂亮 先生 神戸大学大学院医学研究科外科系講座災害・救急医学分野 先進救命救急医学部門
演者:
志馬 伸朗 先生 広島大学大学院救急集中治療医学
福田 修 先生 国立循環器病研究センター臨床検査部

医師が引き出すチカラ
志馬 伸朗 先生 広島大学大学院救急集中治療医学
重症感染症の診療は時間との戦いである。初療時には、感染臓器と微生物を類推し、適切な微生物検体を採取/保管/提出/処理し、経験的抗菌薬を時間内に処方する。経験的抗菌薬は、デエスカレーションあるいは抗菌薬の終了とセットである。得られた微生物検査結果や臨床経過を迅速に評価し、経験的抗菌薬を早期に変更あるいは中止する。これは、患者生命予後改善と抗菌薬適正使用の双方を可能とする戦略である。
この診療戦略の中で、絶対に欠かせない検査が血液培養検査である。血液培養を適切に取り、正しく解釈し治療に反映させることは、とても重要である。過去10年の間に集中治療室における血液培養への理解や適応の拡大が急速に進んだ。
しかしそこには依然としていくつかのピットフォールや、限界や誤解がある。血液培養を正しく施行し、そのチカラを十二分に発揮させるためには、臨床現場における様々な努力や工夫が必要である。感染症診療に関わる全てのメディカルスタッフそれぞれがこの検査をきちんと理解し、活用しないといけない。本講演では、適切な重症感染症診療を追求するうえで、血液培養検査の果たす役割を中心に概説する。特に自施設での現場における工夫や文献的考察を含め、血液培養検査を究めることの重要性を改めてまとめてみたい。

検査技師が引き出すチカラ
福田 修 先生 国立循環器病研究センター臨床検査部
感染症診療において、臨床検査技師が寄与出来得る部分とは何か?
検体採取、培養検査、検査結果報告などの臨床検査の各工程において、その妥当性、適切性を評価しコメントをすることは、診療戦略を後押しするものになるはずである。各工程において臨床検査医学的観点から、臨床医へわかりやすいメッセージを添えるなど、Diagnostic stewardshipとして臨床検査技師が躍動することはとても重要である。
現在、感染症診療のための検査方法は多種多様で、バイオマーカー、遺伝子検査などの期待される技術があるが、思わぬ落とし穴があることも報告されている。やはり重症感染症の診療には血液培養検査が欠かすことができない。
しかし、血液培養はボトルに血液を入れれば、何でも生えるのではない。
血液培養検査に大きく影響する因子には、採血のタイミング、採血量、装填までの時間などがあり、それぞれの注意点を理解し、正確な血液培養検査がなされることが必要であることを再認識すべきである。また、血液培養陽性後の検査方法においても工夫が必要で、これまで通りに測定機器を使用するだけの検査フローでは、診療に間に合わないことを理解する必要がある。患者生命予後改善のためにも、抗菌薬適正使用の観点からも、真に診療に寄与する、より迅速な検査体制の構築が必須である。
近年、迅速と言われる測定機器やPOCT(point-of-care testing)も増えてきた。これらのパフォーマンスを駆使し診療に『合わせる技術』の提供は最も大切であり、加えて医師や看護師などベッドサイドの現場とわれわれ臨床検査技師の良好なコミュニケーションは正しい診断プロセスにもっとも重要であり、これにより診断精度はさらに上がり、患者アウトカムに寄与すると考えている。本講演では、医師や看護師が陥りがちな血液培養検査におけるピットフォールと、診療を支援するための迅速な検査手法および検査フローについて、検査技師の工夫と臨床での取り組みについて紹介したい。