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第25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会 ランチョンセミナーからの報告

「糖尿病患者の注射療法に関する針刺し・切創ゼロを目指して
~糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル2020~」
第25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会においてランチョンセミナーを実施いたしました。
本セミナーでは2020年9月19日に公開されました「糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル2020」をご紹介いたしました。「糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル2020」を本サイトでも公開させていただきますので、ぜひご覧ください。
以下に糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル作成ワーキンググループ委員長のご挨拶文を掲載させていただきます。




「糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル」公開にあたって

糖尿病患者の注射療法に関する感染ネットワーク 代表世話人
糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル作成ワーキンググループ 委員長
愛知医科大学大学院医学研究科 臨床感染症学 主任教授
三鴨 廣繁


職業感染制御研究会がまとめた報告書(エピネット日本版サーベイランス2015)によりますと、臨床現場における針刺し切創の発生件数は年々減少傾向にあるものの、薬剤充填針による針刺し切創の件数は増加傾向にあります。また、本邦では、厚生労働省より通知された「医療機関等における院内感染対策について」(平成26年12月19日医政地発1219第1号)において、「(2-3職業感染防止)注射針を使用する際、針刺しによる医療従事者等への感染を防止するため、使用済みの注射針に再びキャップするいわゆる「リキャップ」を原則として禁止し、注射針専用の廃棄容器等を適切に配置するとともに、診療の状況など必要に応じて針刺しの防止に配慮した安全器材の活用を検討するなど、医療従事者等を対象とした適切な感染予防対策を講じること。」と注意喚起されています。しかし、ペン型注入器用注射針に関しては、使用済みの針を取り外す際、針ケースによるリキャップが必要であり、針刺しのリスクが依然として存在しています。
2018年より、糖尿病患者の注射手技に関する針刺し損傷とそれに関わる注射用デバイスの準備、廃棄、注射手技及び、その関連領域に関する教育、啓発を目的として、医師・薬剤師・看護師が中心となって、糖尿病の専門家と感染症の専門家のマルチソサイアティによる糖尿病患者の注射手技に関する感染ネットワークを結成しました。
すでに、BDのホームページ上で、2017年より公開を始め、年に一度再検討している「東海血流マネジメントバンドル」も今年で公開より3年が経過するまでに至りました。本バンドルは、日本の多くの先生方にご利用いただき、改善すべき点など多くのご意見やご要望をいただきました。それらのご意見も参考にして、血流感染マネジメントバンドル作成ワーキンググループで毎年検討を加え改訂を加えて改訂版を公開しております。改訂版を公開した後にはご賛同頂く施設による実態調査を行い、毎年開催される東海血流感染セミナーにおいてセミナー参加者と活発な討議を行い、新たな改訂に取り組んでおります。
この「東海血流マネジメントバンドル」での経験を、糖尿病患者を中心とした注射手技に関する感染予防にも役立てることができると考えております。
「糖尿病患者の注射療法に関する感染マネジメントバンドル」は、臨床現場におけるプラクティカルな予防策を、注射手技、教育、廃棄、針刺し・切創時の対応のフェーズごとにバンドル化することにより針刺し損傷による感染の予防を目指すというものです。本バンドルはプロセスバンドルとストラクチャーバンドルの2つのパートで構成されていますが、プロセスバンドルは原則として個別事例での対応状況を、ストラクチャーバンドルは原則として病院全体の状況を評価するものとなっています。各施設の評価に関しては、プロセスバンドルとストラクチャーバンドルを合計するのではなく、それぞれのパートで遵守率を出すように設定されています。これにより、各施設で改善すべき項目が明らかになり、個別事例ではどの点を修正していくべきかなどが明らかになると考えています。
本バンドルを活用いただき、忌憚のない意見を賜わりたいと考えています。バンドルは、皆様の力で改訂を重ねてより良いものに成長させていくのが基本です。先生方の意見により、さらに優れたバンドルの構築に繋がると考えていますのでよろしくお願いいたします。