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症例7 - 心停止および無脈性電気活動を呈した58歳男性患者

心停止 無脈性電気活動

欧州のケーススタディ集 臨床における体温管理療法

情報および背景

治療実施国:イタリア
治療実施施設:サン・ジョバンニ・ディ・ディオ病院

概要

# 冠動脈造影中のAMI、心停止、Asystole
# 目標体温維持48時間
# 植込み型除細動器(ICD)留置

医師に関する情報 レティツィア・ロマネッリ、医師
ロベルト・オッジョーニ、医師

サン・ジョバンニ・ディ・ディオ病院地域保健所(ASL)10
イタリア、フィレンツェ
体温管理の院内実績 成人の心停止患者を対象に体温管理療法を3年間実施。
 + 機器・手法  本症例ではArctic Sun™5000 体温管理システムを使用した。
シバリングを管理するため、ベンゾジアゼピン、オピオイド、筋弛緩薬を投与した。

症例提示

患者年齢58歳男性が救急診療科に入院。
発見時の状況到着時、患者には急性肺水腫に関連する左心不全および心筋梗塞マーカーの上昇がみられたため、冠疾患集中治療室に移動し内科的支持療法が開始された。
初回の所見冠動脈造影を実施。術中に急性心筋梗塞を合併し心停止に至った。
患者が緊急状態にあった時間無脈性電気活動と診断され、直ちに心肺蘇生を実施した。
病院到着時の患者の状態集中治療部への到着時、患者は深鎮静状態であった。GCSは判定不能。
換気パラメータ機械的換気を実施(従圧式換気:FiO2 40%、呼気終末陽圧8cm H2O、ピーク圧20cm H2O、呼吸数12回/分)
病院到着時の心調律ECGで洞調律が確認された。強心薬に反応しない心原性ショックだったため、大動脈内バルーンポンプ(IABP)を挿入した。
心拍再開(ROSC)までにかかった時間25分
治療開始前のグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)測定不能
入院時の診断名無脈性電気活動
実施された神経学的検査および予後の判定入院後直ちに、Arctic Sun™ 5000 体温管理システムおよび体温モニタリング用の膀胱プローブを用いて冷却治療を開始し、3時間後に目標体温の33℃に到達した。
目標体温を48時間維持した後、0.4℃/時のペースで最大36.5℃まで復温を実施。
Arctic Sun™ 5000 体温管理システムを使用し、平熱療法としてこの体温を3日間維持した。
低体温療法中、ミダゾラムとシサトラクリウム* を投与してシバリングを回避した。
体温管理の全手順において、合併症は起こらなかった。
低体温療法の復温後、EEG、脳CTスキャン、プログラム電気刺激法(PES)、ならびに一連の臨床神経学的評価を実施した。
2月10日に実施した心エコー検査で左室心尖部血栓が認められたため、未分画(UNF)ヘパリン静注による治療を行った。3日後、この合併症が右中大脳動脈と右上腕動脈の閉塞を伴う全身性塞栓症を引き起こした。神経外科および心臓外科の評価により外科的治療の必要はないと判断されたため、その後は内科的治療として未分画ヘパリン静注を継続した。
患者はその後、GCS15に至る感覚神経の改善、臨床評価による左片麻痺、およびEEGで軽微な徐波活動を示した。
このような状況下で、患者は無事に抜管された。
3月5日の脳CTスキャンでは虚血領域で出血性変化がみられたため、ヘパリン療法を中止した。患者は無症候性のままであった。
その48時間後に新たに実施した脳CTでは変化がみられず、神経科医がアセチルサリチル酸(ASA)とクロピドグレルの併用療法を提案した。
* 日本では未承認の薬になります

冷却療法

事前冷却を開始した場所血管造影室
実施した事前冷却法事前冷却は実施されなかった。
体温管理を開始した診療科集中治療部
メインの体温の測定部位膀胱
目標冷却体温33℃
目標温度の所要維持時間48時間
目標復温速度0.4℃/時
目標体温の到達にかかった時間3時間
低体温療法/復温/常温療法に関連した合併症なし

院内プロトコルに準拠したか

「いいえ」の場合、その理由を簡潔に説明はい

シバリングに対する処置

神経筋遮断薬/鎮静薬シサトラクリウム* 2.2mcg/kg/分の投与
鎮静薬の種類ミダゾラム1.1mcg/kg/ 分の投与
* 日本では未承認の薬になります

転帰

退院時の状態GCSは15で、左側の力の低下、および右側の第6脳神経障害あり。
肺機能は正常、血圧は安定。退院前に埋め込み型除細動器(ICD)を留置した。
その後は心臓および神経のリハビリテーションに移行した。
退院時の脳機能カテゴリー(CPC)CPC1 – 脳機能は良好。
6カ月時点のCPC(該当する場合)該当なし。CPC1を予測。
退院時の患者のステータス:生存/死亡生存

考察

低体温療法は安全であることが実証されており、いくつかの合併症と生存期間の改善が示されている。
Arctic Sun™ 5000 体温管理システムは、治療期間の全体を通して過冷却を防ぎつつ患者を安定した低体温状態に保ち、制御された復温を実施するうえで有用であった。
復温後、同システムを使用して正常体温を48時間維持した。


販売名: Arctic Sun 5000 体温管理システム  医療機器承認番号 : 22700BZX00278000
販売名: Arctic ジェルパッド         医療機器認証番号 : 226ADBZX00175000

※本レポートはBD TTM ヨーロッパチームが作成したものを日本語訳にしたものです。
※今回ご提示頂いた結果は、著者の臨床経験例によるもので、全ての症例に当てはまるものではありません。患者様の状態、特性によって結果が異なる場合があることにご留意ください。
※ 本資料は学術的情報の提供を目的としており実際のご使用に際しては、事前に必ず添付文書を読み、本製品の使用目的、禁忌・禁止、警告、使用上の注意等を守り、使用方法に従って正しくご使用ください。 本製品の添付文書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品医療機器情報提供ホームページでも閲覧できます。