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救急外来24時間受け付け 昼夜問わず一線の医療を提供

リビング北九州 2003年2月8日

北九州総合病院 救命救急センター 臨床検査部技師課長・松尾裕也さん

【Profile】
〈救命救急センターとは〉
第二次救急医療施設および救急患者の搬送期間との円滑な連携体制のもとに、重篤救急患者の医療を確保することを目的として、昭和51年に厚生省によって開始された事業。福岡県には現在6つの救命救急センターがあります。

自分の健康は自分で守る時代。何もかも医者にお任せというのではなく、病院とも対等に付き合いたいものですね。信頼できる地域の病院を選ぶポイントは?個人ではなかなか知ることができない、医療の最新情報や病院の医療体制などについて、北九州総合病院救命救急センター・臨床検査部技師課長の松尾裕也さんに聞きました。

臨床検査技師や薬剤師も当直 救急医療をメディカル面でサポート

—   救急医療体制が整っていますね。

A 救急外来は24時間受け付けで、昼夜を問わず質の高い医療の提供を目指しています。そのために夜間も救急救命センター専任医、小児科、内科、脳神経外科、外科または整形外科の専門医や看護師が当直し、他科の医師も必要に応じて緊急呼び出しを行います。
臨床検査技師、放射線技師や薬剤師、事務職員も当直します。夜間診療は応急処置にとどまる施設が多い中、ここは、私たち検査部というメディカル面も含めて、常に専門医療を行える体制にあるのです。


—   夜間に検査が行えることのメリットは何でしょう?

 肝心なのは専門性の高い検査がリアルタイムで行えるという点。医師の臨床診断に加え、病原を突き止めるうえで確証となる情報、つまり検査データが緊急で必要なケースがあります。小児の細菌性髄膜炎はその代表例。処置が遅れると脳障害という後遺症を残す恐れがあるため、いち早く菌の種類を突き止め、適切な抗菌薬を投与しなくてはなりません。ここでは即時に対応可能です。

患者を中心に医療機関が向き合う 「地域医療」の充実を目指して

—   救急外来は急を要しますし、利用も多いとか。患者の取り違い事故防止など安全対策は講じていますか。

A 各現場で対策を行っています。臨床検査部として一番怖い取り違えは輸血です。交通事故や外傷の患者など大量に出血している場合、適合血であることを確認する試験を行う時間的余裕もなく、血液型の確認だけで輸血せざるをえないことがあります。聞き間違いは命取り、注意が必要です。
検査なしの輸血では、血液型の復唱を繰り返す、必ずファックスで文字情報を交わす、その情報を複数の技師が確認しあう確認作業を徹底します。緊急時にこそ冷静に対応するには、日ごろの訓練が第一ですね。


—   日常の検査で安全のために配慮していることは?

A 採血検査に使うスピッツ(試験管)はすべて滅菌したものを使用するなどしていますが、むしろ当たり前と考えていますね。


—   私たちが大きな病院を上手に利用するためのアドバイスをお願いします。

A これからは地域の中心病院と、皆さんの身近なかかりつけ医とが連携し、地域で医療を考える時代です。また、大きい病院にも専門性があります。「こういうケースの時はどの病院に相談しよう」などの情報を一度整理しておくことを勧めます。
「病病(病院と病院)連携」「病診(病院と診療所)連携」という言葉がありますが、医療機関同士が患者を中心に向き合い、コミュニケーションをとっていくことが大事。北九州総合病院も、患者さんを紹介していただいた医師とここの設備を使って共同で診察する開放型病院を目指しています。