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安全対策の第一歩はスタッフの働く環境を守ること

リビング名古屋(西南) 2003年新春号

中部労災病院 看護部長 高木史さん

【Profile】
日本医科大学付属高等看護学院卒業。
中部労災病院看護副部長、労働福祉事業団本部看護課長、新潟労災病院看護部長などを経て、現職に。

自分の健康は自分で守る時代。何もかも医者にお任せというのではなく、病院とも対等に付き合いたいものですね。信頼できる地域の病院を選ぶポイントは?個人ではなかなか知ることができない、病院の医療体制や姿勢などについて、中部労災病院看護部長の高木史さんに聞きました。

顔写真を貼った診察券とカルテ 女性の体はまず女性の視点で診る

—    目に付いたのが、証明写真を写すボックスですが。

A 患者さんの取り違い事故などを防ぐために、昨年5月から始めたのが診察券やカルテに患者さんの顔写真を貼ることです。病院内に設置した簡易撮影ボックスで写すと300円で6枚の写真がでてきます。その写真を受け付けで診察券に貼ってもらうと、100円が戻ってくるというシステム。愛知県では初めての試みではないですか。
実は外来でヒヤリとしたことがありました。名前を読んだら違う人が入ってくる・・・。長く通院している患者さんは、自分のことはみんな知っていると思い込んでいるけれど、看護師は担当が替わるので名前が分かりません。顔写真の普及率100%を目指し、もっとPRしていきたいですね。


—   週に1度の女性外来も注目されていますね。

A 女性外来の設置は全国的にも要望が強いのですが、まだ少ないですね。女性の体は女性の目で診る、これは大事なことです。早期の乳がんを見逃さないために、女性の外科医を確保する予定です。いまは遠くからも患者さんが集まってきています。

地域とのいい関係 みなと祭りにも病院ぐるみで参加

—   患者さんの安全を守るために、何が一番必要だとお考えですか。

A 患者さんに接する機会が一番多い看護職を始めとして、スタッフを守ることが患者さんを守ることにつながります。スタッフが安心して働ける環境を作るのが私の仕事だと思っています。一番気を配るのが人間関係、これがうまくいっていれば初歩的なミスは防ぐことができるのではないでしょうか。


—   地域にもずいぶん溶け込んでいるようですね。

A ボランティアの方から勧められて、一作年前から、「みなと祭り」という地域の大きなイベントに病院として参加しています。おそろいの浴衣とはっぴで、踊りながら町を練り歩くんです。病院のみこしやちょうちん、太鼓などを作ってくれる人が出てきたり、音頭を取ったのは看護部ですが、今までそんなことには関心がないという顔をしていたスタッフや、ドクターの中にも祭り好きがいたのにはうれしかったですね。昨年は100人を超す病院スタッフたちが参加しました。楽しかったですよ。
おかげさまで、地域の人たちとのつながりもずいぶん深まりました。12月に病院の玄関を飾っていたライトアップされたクリスマスツリーは、地元の人たちの手作りプレゼントです。
病院ボランティアの活躍にも頭が下がります。院内の案内役として、また定期的にお茶会を開いて患者さん同士のコミュニケーションを図ったり、地域のリサイクルバザーにも病院として参加したり。こういうつながりって大事ですよね。