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治験センターからの情報発信 患者主体の医療を目指す

リビングおかやま 2002年12月28日

岡山大学医学部附属病院 副薬剤部長 二神幸次郎さん

【Profile】
長崎大学大学院薬学研究科薬学専攻(修士課程)卒業。
九州大学医学部附属病院薬剤部勤務を経て、岡山大学医学部附属病院薬剤部副部長に。同治験センター運営委員会委員、担当副薬剤部長。

自分の健康は自分で守る時代。何もかも医者にお任せというのではなく、病院とも対等に付き合いたいものですね。信頼できる地域の病院を選ぶポイントは?個人ではなかなか知ることができない、医療の最新情報や病院の医療体制などについて、岡山大学医学部附属病院副薬剤部長の二神幸次郎さんに聞きました。

患者と医師を結ぶコーディネーター 1月24日、市民公開講座を開催

—   病院内に治験センターを設置しているのは珍しいのではないですか。

A 岡山県では希少ですね。治験とは、薬の開発のための臨床試験のこと。今までは担当医師が参加の意思のある患者さんに直接お願いして進めていたのですが、平成11年4月、病院内に治験センターを作り、治験に関するコントロールやデータの管理などを行うようになりました。
  例えば、看護師、薬剤師、臨床検査技師からなる治験コーディネーターが、被験者と担当医師との間に入ってインフォームド・コンセント(説明と同意)を支援することから、事務手続き、相談やケアなどに対応しています。


—   市民公開講座も実施しているとか。

A 今年2月、治験について市民の皆さんに広く知っていただくために開いたのが始まりです。約100人の参加があり好評だったので、来年の1月24日(金)、2回目の公開講座を岡山国際交流センターで予定しています。インフォームド・コンセントについてのほかに、患者さんと接する機会が一番多い臨床医による尿失禁の話がメーンテーマです。

地域治験を支援して 地域医療の核になる

—     新しい病棟が完成するとうかがいましたが。

A 来年5月に新病棟への第一期移転が終了します。これを契機にして、外来、入院の両面で臓器別診療体制に移行します。今まで診療科別に行われていたシステムを分かりやすい名称に変え、総合診療外来も設けて地域に開かれた病院になると聞いています。また、電子カルテの導入、歯学部附属病院との統合など、ハード、ソフト両面でこれからもっと変化していくと思います。


—   治験センターからの情報発信、話題提供も、地域密着を願う病院全体の姿勢の表れですね。

A 研究、教育、臨床の3つの柱がある大学病院の特徴も生かしつつ、患者さんとのコミュニケーションを大事にする…、治験センターの取り組みは、治療の推進だけが目的ではありません。自分の通っている病院ではどんなことをやっているのか、知ることが大事です。「あなた任せの医療」の時代は終わりました。これからは、日常の診療でも、患者さんが納得した医療を自分で選ぶ。分からないことは聞きながら、自分の考えもはっきりと伝えることができるようになってほしいですね。
  もうひとつ、13年1月、治験センターに地域治験支援部門を設置しました。地域の開業医や中・小規模の医療機関で行う治験を支援する役割です。岡山大学医学部附属病院は、これからも地域社会の核となって、地域医療機関における治験推進、医療連携を図っていくことになるのではないでしょうか。