医療関係者向けのページです

小さなミスの徹底チェックが事故を未然に防ぐ最善策

リビング西宮 芦屋 2002年12月14日

甲南病院 看護部長 柳生敏子さん

【Profile】
1972年、甲南病院看護専門学校卒業、甲南病院に就職。
婦長、看護次長などを経て、92年から六甲アイランド病院看護次長を兼任。95年から現職。98年から2年間、兵庫県私立病院協会婦長部会会長を兼務。

自分の健康は自分で守る時代。何もかも医者にお任せというのではなく、病院とも対等に付き合いたいものですね。信頼できる地域の病院を選ぶポイントは?個人ではなかなか知ることができない、病院の基本姿勢や医療に対するポリシーなどを、甲南病院看護部長の柳生敏子さんに聞きました。

オープンな意見交換で充実したチーム医療を実践

—   院内のコミュニケーションが大変うまく図れているということですか。

A 病院という組織は、医師、看護師、薬剤師、栄養士、各技師、事務職員など、専門職の集まりです。従ってどうしても部門ごとに集まりがちですが、甲南病院にはそういった壁がほとんどありません。各部門で毎週のように勉強会を開いていますが、すべてオープン。他部門のスタッフも参加して活発に意見を交換しながら、共同で研究発表も行います。それぞれの立場で多角的な視点から、遠慮なく話し合うことのできるこのシステムは、充実したチーム医療の実践に役立っています。


—   基本理念を教えて下さい。

A 「病人のための病院」です。その一環として、私たちは「癒し」の環境を大切に考えています。当院は六甲山系を背にした小高い丘の上にあるため眺望がよく、春の花々、秋の紅葉とそれは見事ですが、落花、落葉の掃除は本当に大変。そこで院内の衛生管理委員会にガーデニングの会ができ、掃除だけでなく、様々な花木を植えるなどして、四季折々に患者さんに楽しんでもらえる空間づくりに励んでいます。また、年に4回、ロビーコンサートを開催。患者さんだけでなく家族の方にも、楽しい時間を一緒に過ごし、共通の話題を持つことで、お互いのコミュニケーションの場になればと考えています。

「看護何でもコラム」スタート 若い力を病院作りのエネルギーに

—     医療過誤に対する院内の取り組みは。

A 徹底しています。よく、医局のミスは外に出てこないと聞きますが、当院ではすべての部門がすべてを出してきます。例えば、気づかなかったような小さなミスを報告し忘れていても、「他部門発見」というシステムで必ず指摘される。さらに、あまりにもミスの報告が少ない部門には監査が入ります。決してスタッフを信頼していないからではありません。小さなミスのうちに原因を突き止め、二度と繰り返さないシステムを作るのが、事故を未然に防ぐための最善策だからです。医療に携わる人間として当然の責任だと思っています。


—   看護部長として今後の展望を。

A スタッフ一人ひとりが「自分たちがいい病院を作っていくんだ」という意識を持って働ける環境を整えていきたい。その一つとして、11月から「看護何でもコラム」を始めました。提案、不満、希望など、何でも思ったことを意見箱に入れてもらい、それに対するコメントを毎月紙上で発表。改善できる点は迅速に対応し、自分の声が反映されることを実感できるようにしました。一人ひとりの声をきちんと受け止め、よりよい病院作りのためのエネルギーにしていきたいですね。