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第28回日本臨床微生物学会総会 ランチョンセミナー1

開催地 長崎
会場 第2会場
長崎ブリックホール3F 国際会議場
開催日時 2017年01月21日 12:10〜13:10
座長

諏訪部 章 先生

岩手医科大学医学部臨床検査医学講座 教授
備考 本セミナーは整理券制です。
ランチョンセミナーは整理券制となります。
セミナー開催当日の朝7:30から長崎ブリックホール1Fロビーにて配布いたします。
なお、整理券はセミナー開始5分後に無効となります。

共催:第28回日本臨床微生物学共催会総会 / 日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

「菌力」アップトレーニングで「勤力」アップだ!
~臨床微生物検査の最新トピックスも含めて~

大楠 清文 先生

東京医科大学微生物学分野 教授

近年の飛躍的な技術の進歩は感染症検査にパラダイムシフトをもたらしつつある。実際,自動血液培養装置,質量分析装置,さらには次世代型遺伝子検査システムの日常検査への導入が進んでいる。本ランチョンセミナーでは,欧米の学会やジャーナルでの最新情報を紹介しながら,臨床微生物検査の今後の動向について考えてみたい。併せて,昨年話題となった感染症を振り返りながら,菌力アップトレーニングに励んでもらい,「勤(務)力」アップに繋げて貰えれば幸いである。
1.血液培養検査は永遠に不滅です!そして「裏ワザ」の提案
 血液培養は菌血症/敗血症の確定診断に極めて重要な検査である。すなわち,血液培養が陽性となれば,菌血症の存在が直接証明され,起炎菌が判明して,治療に最適な抗菌薬の選択と早期治療に貢献できる。
血液培養採取から自動培養装置への挿入までの時間短縮は,血液培養が陽性になるまでの時間を短くするための「裏ワザ」ではないだろうか?確かに!それを実現すべく「リモートブラッドカルチャー」の概念が提唱されている。各病棟や救急外来に設置されたコンパクトな血液培養装置で早期に培養を開始して,遠隔の検査室でその陽性判定をモニタリングできる。また,病棟で培養開始した測定データを保持しながら検査室の血液培養装置へのボトル移動が可能である。
2.自動塗布・培養装置
 検体の培地への塗布,培地の仕分け搬送,集落の自動判定(培地の画像撮影)の3ユニットを繋いだTLA (Total Laboratory Automation)システムが開発されている。各ユニットはモジュール化されており,組み合わせることができる。
3.次世代型遺伝子検査
核酸の抽出から増幅と検出を全自動で2~3時間以内に完了する「次世代型」の遺伝子検査システムの特長を紹介したい。
4.Culture-Free Microbiology;検体から直接の菌種同定と薬剤感受性試験
細菌が内在性に保有する発光分子(Intrinsic fluorescence; NADH,トリプトファン,ポルフィリン,フラビンなど)に励起光を照射して,その発光を測定するExcitation-Emission Matrices(励起・蛍光マトリックス)で菌種を同定する技術が注目されている。また,デジタル顕微鏡による菌数や菌体の形態変化をモニタリングしてMIC値に換算,あるいは菌が内部に保有する蛍光物質を励起光と蛍光の画像変化で捉えて,2~5時間で薬剤感受性を判定するシステムも開発されている。これらの最新技術の適用は,血液培養液が主体であるが,今後は検体から直接の同定・薬剤感受性検査,いわゆる「Culture-Free Microbiology」が実現されつつある。
5.「菌力」アップトレーニング
患者の臨床症状,病態を把握したうえでのグラム染色像や集落の観察で推定可能な菌種と効率的な同定のプロセスをご紹介する。参加して頂いた皆さんが「菌トレ」に励んでもらいながら,勘,直感力,インスピレーションともいわれているシックスセンス(第六感)に磨きをかけて「勤力」アップに繋げてもらえればと思います。さあ,ランチを食べながらの「菌トレ」スタート!