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第10回J感染制御ネットワークフォーラム 教育セミナー10

開催地 宮城
会場 仙台国際センター 2階「橘」(第2会場)
開催日時 2018年9月1日(土)14:40-15:40
備考 共催:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

『感染症迅速診断検査キット活用の基礎知識』

司会:中島 一敏 先生 大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科 教授
演者:大塚 喜人 先生 医療法人鉄蕉会 亀田総合病院 臨床検査部

医療関連感染症の病原体は様々であり、その対策もいくつかに別れる。同様に感染症検査は標的とする病原体によって、検体採取の部位、タイミング、手順などにポイントがある。また、検体の輸送と保存の条件、検査手法、検査結果の解釈は各々異なっていることが多い。
感染症検査は診断・治療・効果判定に欠かせないばかりか、感染対策に役立つサーベイランスデータはこの検査結果を基に作成されることは言うまでもない。じつはよく考えると、この検査の検体採取はほとんど看護師、医師が行っているわけで、是非感染症検査のピットフォールについてご理解頂きたい点がある。
本セミナーでは迅速診断検査キットであるA群溶連菌迅速診断キットをはじめ、インフルエンザウィルス抗原検査、マイコプラズマ肺炎迅速診断検査、肺炎球菌尿中抗原検査などを例として、検体採取から結果判定について解説したい。
このような感染症領域のPOCT(point of care testing)検査キットは、「いつでも、どこでも、だれでも簡単に検査できる」という印象を与えており、他職種の医療従事者がその検査に関わっているのが現状である。
感染症領域の迅速診断検査は、患者検体を採取するところからが重要で、可能な限り診断的価値の高い検査材料を採取しなければならない。そのためには少なくとも感染症の基本的知識の基に、採取時期、部位、方法、手技には注意をしながら実施すべきである。また、血液、尿などから抗原や抗体を検出する方法については感度・特異度をも認識し、その結果のみを鵜呑みにすることなくピットフォールの存在を理解しなければならない。
当院では救命救急センターに臨床検査技師が常駐し救命チームの一員として機能しているが、感染症に限らずPOCTを有効にするため臨床検査技師、看護師、医師が共に検体採取、POCT検査に関わることで他職種への教育にも繋がっているので、この点についても紹介する。