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体温管理システム(TTM)関連 FAQ


Arctic ジェル™ パッド関連


Arctic Sun™ 5000 体温管理システムで管理しながら患者さんに除細動器を使用できますか?​

除細動器の種類に気を付けて頂きご使用いただけます。


・AEDの場合​
AEDパッドを直接患者の皮膚に貼り、Arctic ジェル™ パッドはその上から装着できます。(写真(上))​


​・手動式除細動器の場合​
除細動器を当てるスペースを空けるため、Arctic ジェル™ パッドをずらします。Arctic ジェル™ パッドは一部を剥がして折り込むようにして使用することができます。(写真(下))​


Arctic ジェル™ パッドを装着中、心電図モニタリングのための電極はどのように装着しますか?

必要に応じて胸部または四肢のリード電極を付けて使用できます。


・Arctic ジェル™ パッドの下に重なるようには貼らず、位置をずらして貼ってください(写真参照)。


Arctic ジェル™ パッドを装着した患者の体重はどのように測定しますか?

以下の手順で測定できます。

・Arctic ジェル™ パッド一式を装着した状態で患者の体重を測定します。
 -マニホールドと大きな灰色のホースが体重計の表面から持ち上げられていることを確認してください

・Arctic ジェル™ パッド サイズ表のチャートを参考にして、総重量から該当のパッド重量を差し引きます。
 -本体のヘルプ画面の「Arctic ジェル™ パッドを貼った患者の体重測定」からも参照いただけます
 -体重測定の手順に従って、Arctic ジェル™ パッドは空、または満たされた状態で測定してください
 -以下表は本製品取扱説明書記載のArcticジェル™ パッドのおおよその重量になります。
※パッドは可変性が高いため、水を含んだパッドの推定重量には誤差があることをあらかじめご認識ください。また、以下示された重量には液体送達ラインは含まれておりません。


Arctic ジェル™ パッドの重量*

サイズ3SSSSML追加汎用型新生児
クーリング
パッド
追加汎用型
(S)
未使用時
(パッド枚数)
約0.6kg
(4枚)
約0.8kg
(4枚)
約1.3kg
(4枚)
約1.3kg
(4枚)
約1.4kg
(4枚)
約0.2kg
(1枚)
約0.47kg
(1枚)
約0.11kg
(1枚)
循環時
(パッド枚数)
約0.8kg
(4枚)
約1.2kg
(4枚)
約2.1kg
(4枚)
約2.2kg
(4枚)
約2.4kg
(4枚)
約0.4kg
(1枚)
約0.68kg
(1枚)
約0.17kg
(1枚)
 *Arctic Sun 5000体温管理システム取扱説明書より


肥満患者を冷却するにはどうすればよいですか?

Arctic ジェル™ パッドのLサイズを使用してください。必要に応じて追加汎用型パッドを2枚まで追加することができます。

※Arctic ジェル™ パッドの種類

・成人用パッド
 -5つのサイズ(3S、SS、S、M、L)で利用可能です。下記リンク先のサイズ適用表をご覧いただき、適切なサイズをご選択ください

・成人用 追加汎用型パッド
 -体格が大きい患者に対する補助として使用します。また、失禁などで大腿用のパッド表面が汚れ、拭き取りが難しいくらい汚れてしまった際は、適宜『追加汎用型パッド』に交換することも可能です。


・新生児用パッド
 -2つの種類がございます(新生児クーリングパッド、追加汎用型(S))


詳細は以下リンク先よりご確認ください


胸部X線撮影の時にArctic ジェル™ パットを剥がす必要はありますか?

X線撮影時に取り外す必要はありません。1


・Arctic ジェル™ パッドの内に水が流れていても問題ありません。1
・MRI(3.0テスラまで)使用時、CT使用時、X線一般撮影時、X線血管撮影時にも使用できます。1,2


Arctic ジェル™ パットの正しい装着方法はありますか?

各種パッドについて、それぞれございます。

以下リンク先の装着方法インストラクションか、簡易取説をご参照ください。


Arctic ジェル™ パット装着中の患者のスキンチェックに関して教えてください

以下リンク先インストラクションをご参照ください。


Arctic ジェル™ パッドを他の患者にも再利用することはできますか?

できません。Arctic ジェル™ パッドはディスポーザブル製品です。使用後は廃棄してください。

・パッドは開封後すぐに使用してください。開封したパウチの中にパッドを入れて保管しないでください。
・Arctic ジェル™ パッドを構成しているハイドロゲル層の水成分が皮膚への密着性及び熱伝導性に影響を及ぼします。そのため定期的に、パッドが湿っていること、皮膚との接着性が保たれていることを確認してください。ハイドロゲルが皮膚に均一に接着しなくなった時点でパッドを交換してください。
・Arctic ジェル™ パッドは少なくとも 5日間に 1回は新しいパッドに交換してご使用ください。
・使用済み Arctic ジェル™ パッドは、病院の医療廃棄物の廃棄手順に従って廃棄してください。
・再加工や滅菌は行わないでください。


Arctic Sun™ 5000 体温管理システム(本体)関連


Arctic Sun™ 5000 本体の貯水タンクで微生物の発生を予防するためにはどのようにしたらよいですか?

微生物発生を予防するため、循環水用洗浄液を使用します。

・充填用滅菌水を初めて充填するとき、および排水して再充填するときに、殺藻剤としてArctic Sun™ 循環水用洗浄液(クロラミンT)を充填用滅菌水に追加する必要があります。

・6か月ごとにタンクの水は排水し、再充填するときにArctic Sun™ 循環水用洗浄液を追加する必要があります。
・新しいArctic ジェル™ パッドに交換するたびに、タンクからArctic Sun™ 循環水用洗浄液を含んだ水がジェルパッド内部にいきわたります。


Arctic Sun™ 5000 体温管理システムを使用している患者をどのように移送すべきですか?

以下の手順にて移送してください

[1] Arctic ジェル™ パッド内を空にします。その際、水がこぼれないように気をつけてください
 -「パッドを空にする」ボタンを押して、画面の指示に従います。
 -パッドから水が抜けるまでは約30秒かかります。



[2] Arctic ジェル™ パッドのコネクタをつまみ、一度押し込んだ後注水ラインから抜きます(写真参照)。
・Arctic Sun™ 5000 体温管理システム本体を患者と一緒に移送しない場合は、本体の電源をONのままにしておきます。
・注意:Arctic Sun™ 5000 体温管理システムにはバッテリーがありません。 処置に長い時間を要する場合は、患者と一緒に本体を移動させ、コンセントを接続して引き続き使用してください。



体温トレンドインジケータは何を示していますか?

体温トレンドインジケータは過去5分間の患者体温の変動を反映しています。この機能は患者の発熱の検出に役立ちます。

・Arctic Sun™ 5000 体温管理システムは、患者体温を0.01°C 刻みで測定し、画面に表示される前に内部で変化を識別しています。
・体温トレンドインジケータは、過去5分間の患者の体温の変化の程度を反映しています。
・医師は患者を評価するとき、シバリングや発熱の兆候について体温トレンドインジケータを参照することができます。



体温トレンドインジケータ1時間の変化
Center Bar 変化がないか0.25℃未満/時の変化
1つ(↑or↓)0.25°C ~ 0.5°C /時の変化
2つ(↑or↓)0.5°C ~ 0.75°C /時の変化
3つ(↑or↓)0.75°C ~ 2.0°C /時の変化
4つ(↑or↓)2.0°Cを超える/時の変化



Arctic Sun™ 5000 体温管理システムの水温はどのように変化していますか?

水温の変化について
・循環水の温度は4°C〜42°Cの範囲で自動で調整されます。
・「患者コントロール」で、「患者の冷却」または「患者の加温」を選択することにより、Arctic Sun™ 5000 体温管理システムはフィードバックアルゴリズムを通じて水温を自動で調整し、患者を冷却または加温します。

水温の安定化について
・患者の体温が目標温度に維持されている場合、水温は通常18°C〜25°Cの範囲で安定して維持されます。
・ただし、患者が発熱したり体温低下し始めた場合、Arctic Sun™ 5000 体温管理システムは患者を目標温度に保つよう数分以内に水温を変更します。



水温と発熱は関係ありますか?患者が発熱などを起こし体温が上昇している場合はどうすればよいですか?

患者が過剰に発熱し始めると、患者を目標体温に保つために、Arctic Sun™ 5000 体温管理システムは自動的に水温を下げます。

※冷却維持中に水温がベースラインから10°C以上低下し、そこで下げ止まった場合(一時的な乱れではない場合)以下の点を確認してください

 -患者の状態をより詳細に観察する
 ‐シバリングをチェックする
 -他の発熱要因を確認する (例)換気装置の過熱、室内照明など


水温が長時間低下したままの場合はどうすればよいですか?

長時間の冷水への曝露に気を付けてください

・Arctic Sun™ 5000 体温管理システムの水温は、患者を冷却するとき、または発熱に対して目標体温を維持する必要があるときに低下します。
・患者が継続的に冷却されているにもかかわらず、4時間以内に目標体温に到達しない場合、または水温が10°C未満のまま8時間が経過した場合は、下記チェック項目をご確認いただくか、本体「ヘルプ画面」の「温度がコントロールされない」または「長時間にわたる冷水への曝露」を参照してください。


チェック項目

  • 体温トレンドインジケータを確認する。体温トレンドインジケータから、患者体温が目標温度に向かっているか観察する。
  • Arctic ジェル™ パッドのサイズが適切か、パッドのカバー範囲は適切か(体表の30-40%をカバーしているか)を確認する。また、しっかり患者の皮膚に粘着されているかも確認する。
  • システム機能が正常か検証する。①1時間以上使用したときに流量は適正流量以上あるか。➁水温は、患者体温のターゲットに向かって正しく変動しているか。
  • 体温プローブは正しく接続できているか確認する。
  • カスタムパラメーターが適切か検証する。①患者体温の目標温度は適切か。➁自動患者コントロールモードが有効か(手動モードでは自動調節機能は働かない)。③水温の上限、下限は適切か。
  • 薬剤/シバリングコントロールを検証する。(※シバリングは熱産生を増加させる。 ※鎮静薬または血管作動薬は血管を拡張させ低温または高温の末梢血が中枢に速やかに戻るため深部温を変動させる)



Arctic Sun™ 5000 体温管理システムの加温設定はどのようにできますか?

長時間の冷水への曝露に気を付けてください

・Arctic Sun™ 5000 体温管理システムは、患者に応じて自動または手動で0.01-0.5°C /時の速度で加温するように設定できます。加温は必要に応じて「最速」に設定することもできます。


深部体温関連


尿の流出がない患者で、膀胱温プローブを使用している場合はどうすればよいですか?

以下の点にご注意いただきご使用ください。

プローブについて
・各社膀胱温プローブによっては、体温を正確に読み取るために膀胱内に一定の尿量が必要な場合があります。(測定可能な必要最小の尿量に関しては、膀胱温プローブの製造元にお問い合わせください)。
 -例:BD社(日本ではメディコン社)の膀胱温プローブは、尿がなくても膀胱の温度を測定します。

※低体温療法中に、冷感利尿が起こることがあります。 したがって、IN/OUTバランスを注意深くモニタリングすることが必要です。

各温度プローブの反応(タイムラグ)について
・膀胱と直腸の温度プローブは、低体温療法導入期に深部体温が反映されにくい場合があります。
 -これらの体温プローブでは、急激な体温の変化が生じた場合、肺動脈カテーテルまたは食道プローブと比較して反応の遅れ(タイムラグ)が見られることは珍しくありません。3,4,5



肺動脈カテーテルを使用して「Arctic Sun™ 5000 体温管理システムで体温表示ができるのでしょうか?

・肺動脈カテーテルをArctic Sun™ 5000 体温管理システムに接続することはできないため、肺動脈温の表示はできません。


肺動脈カテーテルがモニターに示す体温が、Arctic Sun™ 5000 体温管理システムで表示される体温(膀胱温や直腸温)よりも低いのはなぜですか?

温度プローブの種類によって起こりうる事象です

・膀胱と直腸の温度プローブは、低体温療法導入期に深部体温が反映されにくい場合があります。
 -これらの体温プローブでは、急激な体温の変化が生じた場合、肺動脈カテーテルまたは食道プローブと比較して反応の遅れ(タイムラグ)が見られることは珍しくありません。

・患者の深部体温を33°C未満でコントロールするときは、食道温の使用をお勧めします。3,4,5
 -タイムラグラグは約5分ほどです。3,5
 -状況によっては食道温プローブの留置が難しい場合があります。

・冷却が軌道にのると、温度は適切に相関してきます。3


シバリング関連


シバリングが生じたらどうしたらよいでしょうか?

シバリングが生じた際は、 シバリング評価スケール(BSAS)によるシバリングの初期兆候をモニターします6。また、担当医師の指示に従って治療します。

シバリングに関する注意点:
・シバリングは代謝率を亢進します。
・シバリングは患者を発熱させ、体温が上昇します。
・患者の体温が上昇すると、Arctic Sun™ 5000 体温管理システムが水を冷却しはじめ、患者が冷水にさらされる可能性が高くなります。
・「ヘルプ画面」で「温度がコントロールされない」 を参照し、すぐに主治医に連絡し施設のプロトコルに従ってください。


シバリングをどのように認識しますか?

以下の方法でご確認ください

シバリングに関する注意点:
・体温トレンドインジケータの矢印を確認する
・「シバリング」なのか「痙攣」なのか評価する
・目に見えるシバリングを確認する:(シバリング評価スケールも活用)
 -下顎骨(咬筋)
 -胸筋
 -大きいまたは小さい筋肉群7,8


シバリング評価スケール(BSAS)9

スコア定義
0なし:シバリングなし。咬筋、首や胸壁の触診でわかる
1軽度:首と/または胸郭に局在するシバリング
2中程度:上肢の運動を含むシバリング(首と胸郭も追加して)
3重度:体幹、上下肢の運動を含むシバリング


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上記FAQで解決しない場合は、こちらよりお問い合わせください。

Reference

1. Testing by Dr. Siedband, Certified Medical Physicist, July 22, 2002.
2. Testing by MR:comp GmbH, July 16- September 9, 2014.
3. Polderman, KH & Herold,I. Therapeutic hypothermia and controlled normothermia in the intensive care unit: Practical considerations, side effects, and cooling methods. Crit Care Med 2009;Vol.37,No.3, p.1113-4.
4. Kupchik, NL. Development and implementation of a therapeutic hypothermia protocol. Crit Care Med 2009.Vol.37;No. 7 (Suppl),p.S281.
5. Weingart, S. Rectal probe temperature lag during rapid saline induction of hypothermia after resuscitation from cardiac arrest. Resuscitation 80 (2009); p. 837.
6. Neeraj Badjatia, MD, MSc. Hyperthermia and Fever Control in Brain Injury. Crti Care Med, 2009: Vol 37; No 7 (Suppl)
7. Presciutti M, Bader MK & Hepburn M. Shivering management during therapeutic temperature modulation: Nurses’ perspective. Critical Care Nurse 2012;32:p.36
8. Lee, K (2012). The NeuroICU Book. New York: McGraw Hill Companies, Inc. p. 352-55.
9. Metabolic Impact of Shivering During Therapeutic Temperature Modulation The Bedside Shivering Assessment Scale Neeraj Badjatia, MD, MSc; Evangelia Strongilis, RD; Errol Gordon, MD; Mary Prescutti, RN;Luis Fernandez, MD; Andres Fernandez, MD; Manuel Buitrago, MD, PhD; J. Michael Schmidt, PhD;Noeleen D. Ostapkovich, MSc; Stephan A. Mayer, MD, FCCM Stroke. 2008;39:3242-3247