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ヒツジ血液寒天培地 (M)


TSA II 5% Sheep Blood Agar M

HTST(High temperature short time)製法のBD BBL生培地

ヒツジ血液寒天培地 (M) 培養18時間後写真
ヒツジ血液寒天培地(M)は、臨床材料からの溶血レンサ球菌の分離培養、および溶血反応の鑑別、並びに栄養要求の厳しい細菌の分離培養に使用されます。本培地は、定評あるBD製血液寒天培地の溶血反応に影響を与えずに、肺炎球菌等の発育支持能(コロニーの大きさ、および発育スピード)のみを高めたものです。

ヒツジ血液寒天培地(M)の特徴
  1. 立ち上がりの早さ
  2. 高い溶血性能
  3. 迅速機器の同定性能への影響は最小
  4. 高品質を維持するHTST製法&インライン分注を採用
  5. 充実した品質管理
Streptococcus pneumoniae(臨床株)での発育試験
<i>Streptococcus pneumoniae</i>(臨床株)での発育試験

ヒツジ血液寒天培地での発育速度

ヒツジ血液寒天培地(M)は単にコロニーを大きくするためではなく、発育の立ち上がりを早くし、短い培養時間で判定ができる血液寒天培地というコンセプトで開発されました。 BD BBL血寒の特徴である、正しい溶血性能を維持しつつ、早い立ち上がりを実現するために、良質な素材にこだわり、ペプトン、寒天、発育因子を細部から見直しました。 製造方法もBD主力品に採用されているHTST&インライン分注を採用しています。

溶血性

(写真左から)
S. pyogenes(A群溶レン菌):コロニーと同等サイズの溶血環。溶血環は完全にクリアーにならない。)
S. agalactiae(B群溶レン菌):コロニーサイズはA群に比べやや大きく、溶血環は小さく、弱い。
Streptococcus Group G :コロニーサイズはA群と同等であるが、溶血環は強く、完全に明瞭である。)
Staphylococcus aureus :コロニーサイズは大きく、二重溶血をするものもある。

HTST (High temperature short time) 製法

HTST製法図解
BDでは牛乳や、缶コーヒーの加熱殺菌などに使用されているHTST製法を採用しています。HTST法はパスツリゼーションと呼ばれる低温殺菌の欠点を補う高温短時間滅菌のことで、滅菌をしつつも必要以上の熱負荷を与えないため、ペプトン等の成分やビタミン類の熱変性を最低限に止めるので、細菌類の発育性能低下がありません。 選りすぐりのペプトンを使用しているヒツジ血液寒天培地(M)を製造する全ての製品Lot間に、差を生じさせず提供するために欠かせない技術です。


組成(精製水1リットルあたり)

カゼイン-スイ消化ペプトン 14.5g
大豆-パパイン消化ペプトン 5.0g
塩化ナトリウム 5.0g
発育因子 1.5g
脱繊維ヒツジ血液 50mL
寒天 14.0g
pH7.3


期待される結果

  1. A群溶血レンサ球菌は半透明、または不透明の灰色を帯びた小さなコロニー(1mm)、もしくは大きな(2〜4mm)粒状、またはムコイド状コロニーでβ溶血環に囲まれます。一般的にB群レンサ球菌の溶血環はA群レンサ球菌より小さく、肺炎球菌は平滑、半透明、灰色、しばしばムコイドのコロニーをつくり、コロニーは特有の広い緑色の溶血帯に囲まれます。
  2. 溶血反応を示す他の細菌にはL . monocytogenes,Corynebacterium ssp, S.aureus, E.coliおよび Pseudomonas属などがあります。Listeria monocytogenesは特徴のある狭いβ溶血です。
  3. CAMPテスト : S. aureusの発育線に最も接するレンサ球菌の発育線の端に、矢じり状または三角形の明瞭な溶血部分が認められた場合、CAMPテスト陽性とします。


ユーザーのための精度管理

使用菌株  判定基準
Streptococcus pyogenes ATCC19615良好な発育 β溶血
Streptococcus pneumoniae ATCC6305良好な発育 α溶血
Staphylococcus aureus ATCC25923良好な発育
Escherichia coli ATCC25922良好な発育
保存 2 - 8 ℃


製品リスト

カタログ番号 製品名 包装単位
252201 ヒツジ血液寒天培地 (M) 100枚入
252202 ヒツジ血液寒天培地 (M) 20枚入

関連情報

  • pagelink

    血液寒天培地の評価プロトコール、および試験成績書(ダウンロード可)を掲載しております。

  • pagelink Sスリーブ

    ヒツジ血液寒天培地 (M)は、過剰水を抑える「Sスリーブ」で提供いたします。Sスリーブは、水分の抜けを良くする特殊包材に縞模様の接着剤を組み合わせることで安定した成形とともに、適度な水分放出を可能にした画期的な特殊包材です。

生培地の保管について

・ 生培地は2〜8℃に冷蔵してください。最適保管温度は5℃です。
・ 空調機の冷風が直接製品にあたらないようにご注意ください。外箱ダンボールに風が当たると、外箱が乾燥し、結果的にスリーブが水分を放出する事により、生培地過乾燥が発生する可能性があります。また品種によっては培地の凍結や変色の原因となります。
・ 10℃以上での放置は、避けてください。
・ 2℃を下回る低温度での冷やし過ぎにご注意ください。培地の凍結や変色の原因となります。
・ 製品を冷蔵庫から出し入れするサイクルが頻繁にならないようご配慮願います。血液を含有する培地の溶血の原因となります。