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虎の巻 質問箱
⑤ XLDでサルモネラが典型コロニーを形成しない場合の考えられる理由
【質問】
XLD寒天培地にサルモネラ(Salmonella enterica subsp. enterica)の菌液を接種したところ、黒いコロニーと黄色で中心が黒いコロニーの2種類が生育しました。後者は今まで見たことがありません。考えられる理由はありますでしょうか
【回答】
以下のようにいくつかの理由が考えられます。
XLD寒天培地では、一般的なサルモネラはキシロースを利用して酸を産生しますが、同時にリジン脱炭酸により培地をアルカリ化します。これに加え、サルモネラは硫化水素を産生しますので、その結果、通常は 赤色のコロニー+黒色中心(H₂S産生) になります。
一方で、黄色+黒のコロニーが出る理由は、乳糖・白糖を利用できる硫化水素産生菌のコンタミがある場合です。
この場合、 Citrobacterなどがコンタミすると黄色で中心部が黒いコロニーを認めることがあります。
また、リジン脱炭酸能が弱いサルモネラが発育した場合、糖の利用によりpHが下がった後、リジン脱炭酸によるpH上昇が弱く、コロニーが黄色く、硫化水素の黒色が中心部に出るコロニーとして発育します。
一般的に、きちんと分離、保管されていれば単一の集落性状となると考えられますが、2種の集落が出た場合は、黒いコロニーを新たなXLDに移植して、単一性状の集落として発育するか確認することをお薦めします。
コンタミだけでなく、凍結融解等を繰り返したり、保存状態が悪いと、菌自体の変異も考えられます。