2-6. RSウイルス感染症

監修: 岡部信彦 先生
(国立感染症研究所 感染症情報センター センター長)

乳幼児は特に注意

あまりなじみのない名前のウイルスですが、小さい子どもほど重くなりやすいウイルスによる呼吸器の感染症で、肺炎の原因となります。かぜのような軽い症状も含めて多くの子どもがかかります。乳幼児では細気管支炎、肺炎など重症化しやすく、また乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の一つとも考えられており、注意が必要な感染症です。

感染力が非常に高く、一方では免疫の出来方が弱いためくり返し感染します。ただし回数がふえるほど軽くなり、2歳以上では「鼻かぜ」程度ですむことがほとんどです。

「インフルエンザ」や他のウイルス感染症と区別する為に、鼻の粘液を採取し、短時間で判定を得ることが出来る検査もあります(健康保険での制約があり、赤ちゃんの入院のみ適応)。

RSウイルス感染症の症状をチェック

イラスト:RSウイルスの症状例
□ タンが詰まったゼイゼイするせき

□ ゼーゼーのどが鳴る音(喘鳴)

□ 発熱

□ 数時間で突然重症化することがある(細気管支炎)

子どもの「かぜ」はあなどれない

症状の変化に注意
だれもが子どもの頃にひいたことのある冬の「かぜ」ですが、喘息のような苦しそうな咳と喘鳴(ぜいめい)が特徴で、治りにくいため長期にわたって症状が続きます。乳幼児では下気道炎や細気管支炎を起こしやすく、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の一つとも考えられています。喘息や心疾患を持っている子どもでは特に重症化しやすく、持病の増悪につながるため注意が必要です。

子どもの「かぜ」はポピュラーな病気で、そのほとんどは軽くすみますが、「かぜ」は万病のもと。症状の変化には注意しましょう。

特徴と注意

イラスト:乳児と母親
  • 感染力が強く、飛沫と接触感染の両方で感染する。

  • 一度かかっても免疫ができにくく、くり返し感染しながら徐々に免疫ができてくる。

  • 3〜6ヶ月ぐらいの乳児は免疫力が弱く重症化しやすい(母親からの免疫がなくなる時期)。

  • 呼吸機能が未発達な低出生体重児における新生児・乳児期の感染は重症化しやすいと言われている。

  • 乳児の場合は呼吸数に注意(通常1分間に40回程度、60回近くなると要注意)。

  • 喘息や先天性心疾患を持つ小さい子どもは重症化しやすい。

多くは症状を抑える治療が主流です

「RSウイルス感染症」に効果のあるワクチンはなく、また治療薬も特殊なもので通常は使用されないため、多くの場合は症状を抑える対症療法がほとんどです。

他の「かぜ」と同じく、水分補給・睡眠・栄養・保温をして安静にして経過をみることになります。

岡部先生からのお話のまとめ

(国立感染症研究所・感染症情報センター・センター長)
  • 冬場に流行する、小児、特に乳幼児に多く見られる感染症で、乳幼児では急性細気管支炎、肺炎などの重い呼吸器症状をおこしやすく、呼吸器や心臓に慢性の病気を持つ小さい子どもに対しては特に注意が必要です。

  • 脱水症状や、タンがつまってゼイゼイするようなせきがでて苦しそうにしている場合は、医療機関を受診する必要があります。

  • 一回の感染では免疫のでき方が弱いため感染をくり返しますが、大きくなるにしたがって症状は徐々に軽くなっていきます。

  • 飛沫感染と接触感染によってうつるため、乳幼児の多い保育園では感染が広がりやすいことがあります。「かぜ」の対策として“手を洗うこと”も重要です。