5-3. アデノウイルス検査の意義

アデノウイルスは、主に呼吸器、結膜、腸管、泌尿器に感染し、咽頭炎や結膜炎、クループ、気管支炎、肺炎、下痢症、出血性膀胱炎など、多彩な疾患の原因となり、伝染性が強いウイルスとして知られています。アデノウイルスは年間を通じて分離されるウイルスで、季節によらず、迅速に診断して適切な感染拡大防止措置をとることが重要です。

アデノウイルスによる気道感染は主に晩秋から初夏に発生します。まぎらわしい細菌感染やウイルス感染との鑑別診断に迅速検査が有用です。また、発熱は40度以上の高熱を示すことが多く、有熱期間が長いので、鑑別診断は患者さんに治療方針や経過を説明するのにも役立ちます。3型による咽頭結膜熱(プール熱)は夏季が流行期ですが、冬にも流行を見ることがあります。