3. 院内感染について パートI

監修:金光敬二先生(福島県立医科大学 感染制御医学講座 教授)
院内感染ってなに?
感染症とは、色々な病原体 {細菌、ウイルス、カビ(真菌;しんきん)など} がからだの中に侵入して増え、咳や発熱、下痢などの症状がでることで、病原体が防御の関門を突破して、からだの中に侵入するルート(感染のルート)も色々あることを、既に説明しました(第1回参照)。

ところで、感染についてもう一つ重要なことがあります。
それは “ どのような場所で ” 感染が引き起こされるのか?と言うことです。
接触や飛沫で人から人にうつる感染症、そしてその他の動物や食物からうつる感染症も、一般的には、通勤途中や繁華街などでの接触、たまたま食べたものが病原体に汚染されていたなど、通常の生活の中で起こります。これを市中感染、または市井(しせい)感染と言います。

食物からなどは、なかなか防げるものではありませんが、それでも人との接触に注意し、またインフルエンザに感染しないように、カゼをひかないようにと考えて、マスクを付けたり、うがいを心がけるなど、色々注意をした経験はどなたにもあると思います。
さて、では他に、どのような場所で感染が引き起こされるのでしょうか?
イラスト:市中感染イメージ

子供さんがカゼをひいたらしく熱が39度もある!みなさんどうしますか?

解熱薬はないかとクスリを探す、薬局へ行って子供用のカゼ薬、解熱剤を買う・・
それもあるかも知れませんが、きっと多くの方は、とにかく先ず病院へ行かれるでしょう。

病院へ行って診察をしてもらい、必要があれば検査を受け、診断結果に従って注射や、お薬をもらったりなど、治療を受けるでしょう。

でも診察の結果、場合によっては、入院などと言うこともあるかも知れません。
イラスト:熱を出した子供

運悪く悪化していて、お医者さんの指示で、いよいよ入院しなければならなくなりました。6人部屋の病室です。

さあ、まわりを見渡すとどうでしょう?

色々な理由で入院している、病気でからだの弱った患者さんが目に入ると思います。そして、今まさに入院しようとしている我が子も、同じようにからだの弱った、更に病原体に抵抗しようとする免疫力も落ちた患者な訳です。
イラスト:入院風景
このようなところで、つまり病院内(院内)で、色々な病原体にさらされたらどうなるでしょう。

患者さんの多くは病原体に抵抗しようとする力、免疫力が落ちていると考えられるので、強力な病原体にさらされるなどもってのほかです。

そして、万が一そのようなことが起こった場合は、健康な人よりも感染が起こりやすいと、容易に想像できると思います。

このように、抵抗力、免疫力が低下して簡単に感染が起こってしまうと考えられる人のことを、易感染患者または易感染性宿主(いかんせんせいしゅくしゅ)*1と言います。
イラスト:健康な人と易感染性宿主のイメージ