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病院と開業医と行政の密な連携が市民を守る

リビング多摩 2003年4月19日

東京医科大学八王子医療センター センター長 工藤龍彦さん

【Profile】
東京医科大学卒業。
同大学病院でインターン。1968年から東京女子医科大学心研外科勤務。81年から東京医科大学八王子医療センター心臓血管外科勤務。88年同部長を経て、2001年、同副センター長、東京医科大学外科学第2講座教授に就任。02年東京医科大学八王子医療センター長就任。

自分の健康は自分で守る時代。何もかもお任せというのではなく、病院とも対等に付き合いたいものですね。信頼できる地域の病院を選ぶポイントは?個人ではなかなか知ることができない、病院の医療体制や姿勢などについて、東京医科大学八王子医療センター・センター長の工藤龍彦さんに聞きました。

地域の中核病院と救命救急センターの役割を担って

—   病院の特徴を教えてください。

A 東京医科大学八王子医療センターは、23年前、循環器専門と救命救急病院の2本だてでスタートし、現在はベッド数約670床の総合病院として地域に貢献しています。八王子市には市民病院がありません。ここは大学病院ですが、市民のための中核病院として、また多摩地区の数少ない救命救急センターとしても知られています。ヘリポートもあり、ヘリコプターで山梨県や神奈川県からも救急患者が搬送されてきます。
救命救急に携わる医師は、研修医も含めて16人。特に命に関わるような3次救急の受け入れを行っていますから、どちらかというと重症の人が集まる病院ですね。
また東京都のCCU(冠疾患集中治療室)協議会のメンバーで、心筋梗塞を起こした人の収容率は都内でも上位を占めています。私自身の専門も心臓血管外科です。センター長になった今でも、診療を続けています。
医師会や周りの病院との連携は特にいいのではないでしょうか。紹介率が約50%と高いのは「病病連携」「病診連携」が非常にうまくいっているおかげです。

医はサービス 力を入れる医療安全対策

—   地域医療との連携がうまくいっているのは、何か努力をされているからですか。

A この地域には循環器疾患を扱う開業医の先生が20人くらいおられますが、緊急を要する人の心電図が画像で送られてきて、それをこちらがチェックしながらのやりとりなど、情報化時代を象徴するような連携が実際に行われています。開業医の先生とは毎月ミーティングを開き、最新の症例を検討し合っています。
また、八王子市はかかりつけ医システムを推進しているので、ほとんどの人がホームドクターを持っています。当センターは各科とも地域の医師との連携は密ですし、行政の後押しも非常に重要だと思います。
最近、医療事故などの問題などが取りざたされるようになって、世の中全体が病院に対して敏感になっています。もちろん事故はあってはならないのですが、ハッとすることはたくさんあります。それが大事にいたらないように、私自身が安全対策委員長も兼任し先頭に立って、病院に来られる方への医療安全対策とサービスに力を入れるよう、組織として取り組んでいます。
年に4回、全教職員を対象に、航空会社やデパートの接客係の人を招いて「接遇」についての講習会を開いています。病院は威張っているというイメージは、取り去らないといけませんからね。


—   患者側が気をつけることはありますか。

A 不明なことは何でも積極的に聞いてください。医師にも看護師にも、隠さずに説明するよう指導していますから。