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『医療安全パトロール』でミスを防ぎ患者の安全を守る

リビング尼崎 2003年3月22日

労働福祉事業団関西労災病院 副院長 大森綏子(すいこ)さん

【Profile】
1963年、国立姫路病院附属看護学校卒業。
東京労災病院師長、関西労災病院師長などを経て、1991年に同院看護部長、2001年に同院副院長就任。労働福祉事業団看護監、兵庫県看護協会第二副会長なども務める。

地域のボランティアの協力で音楽やアートで病院を癒しの空間に

—   玄関を入ったホールに黄色いピアノがありますね。

A 「黄色いピアノを送る会」の関西労災世話人会の方が、患者さんの心を癒せればと寄贈して下さいました。朝夕の自動演奏は、患者さんや家族は楽しみに待っておられますし、地域の方々も聴きに来られるんですよ。今後は月に1回コンサートを開く予定です。


—   地域とのつながりが深いのですか?

A 「地域に親しまれる病院」が基本方針ですから、ボランティアの方々にも積極的にお手伝いしてもらっています。「癒しの空間づくり」にも取り組んでいて、待合室や廊下に鉢植えや絵画を飾っています。英国では芸術を取り入れるホスピタルアートが定着していますが、日本ではまだ少ないようですね。ご支援いただいている画家の方からは、「作品が多くの方々の目に触れ、癒しにつながるのはうれしいこと」という声も聞いています。患者さんはいろんな不安や痛みを抱えて受診されるのに、病院は無機質な空間になりがち。すばらしい芸術に触れ、不安を和らげたり生きる意欲が湧いてきたり、治療にもいい影響が表れるのです。

周辺病院との密な情報交換 予約制導入で待ち時間を短縮

—   地域の医療関係との連携はいかがですか?

A 院内に地域連携室を設け、周辺の開業医の先生方500〜600人と病診連携がとれる体制を整えています。かかりつけ医では難しい検査や治療が必要な患者さんは、当院に紹介されてきます。検査や治療が終われば、それらの情報をかかりつけ医にお渡しする。患者さんが安心して治療を続けられるように、開業医の先生方と蜜に情報交換するように心がけています。
また、昨年から全診療科で予約制を取り入れ、できるだけ紹介状を持ってきてもらうようにお願いしています。前日にカルテを作成し、すぐに診察できるからです。


—     安全対策にも力を入れているとか?

A 患者さんに安全な医療を提供するには、病院全体で取り組む必要があります。そこで2001年度から「医療安全パトロール」を実施しています。医師、看護師、薬剤師、検査技師、事務職など、さまざまな職種のメンバー4、5人でチームを組み、月に1回各部署をパトロール。たとえば薬剤部では、手にした薬をもう一度確認してから薬袋に入れているか、処方疑問があるとき処方したものに確認しているか、などをチェックします。今まで気づかなかった改善点を発見できたり、職種間のコミュニケーションが活発になったり、患者さんの安全について改善すべきことを十分に話し合えるようになりました。今後もパトロール内容の充実に向けて、病院全体で積極的に取り組んでいきたいと考えています。