Demo Data Background
: FlowJo University

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Demo Data Background

これから使用するデータセットは発表済みのもので私自身のデータですが、Phospho-Flow 法 + 細胞内サイトカイン染色 (Phospho-Flow + Intracellular Cytokine Staining: PFICS) アッセイと呼んでいるものです。これはポリクローナル刺激アッセイで、ここでは凍結保存されたヒト PBMC を解凍して一晩培養し、PMA + イオノマイシンのマイトジェンカクテルで 2 時間刺激しました。また一部の細胞には刺激を与えずに培養しました。この間、タンパク質の分泌を阻害することでサイトカインが細胞内で検出可能なレベルにまで増殖し、フローアッセイで測定できるようになります。2 時間刺激したら、生細胞染色色素で染色します。表面抗原、この場合パネルは CD3、CD4、および CD8 ですが、これを染色して主な T 細胞サブセットを識別できるようにします。CD38 と HLA-DR、これはクラス II の HLA ですが、これらによって T 細胞画分内の活性化細胞を識別できるため、HIV や他のレトロウィルス感染における免疫性炎症の重要なマーカーとなっています。

表面染色が終わったら、PMA + イオノマイシンでさらに 20 分刺激するか、刺激を与えずに培養してから、固定、透過処理、細胞内抗原の染色を行います。このアッセイにおける測定項目は、細胞外シグナル調節タンパク質キナーゼ ERK1/2 のリン酸化反応、II 型インターフェロンであるインターフェロンガンマ、そしてパーフォリンです。パーフォリンは細胞障害性顆粒関連タンパク質 (cytotoxic granule-associated protein) で、ウィルス感染細胞の細胞膜に穴を開けて細胞傷害性グランザイムを通過させます。

このように 2 つの異なる刺激条件がある場合、こうした細胞における刺激環境の組み合わせは、実際には 4 つあることになります。アッセイは単純な経時的分析となり、細胞内シグナル伝達物質のリン酸化反応と II 型インターフェロン応答、これはシグナルに反応して産生されるサイトカインですが、この 2 つの間の反応速度の差を説明するものとなります。細胞を全く刺激しない場合、リン酸化反応やインターフェロンγはあまり見られません。20 分間ほど刺激した場合は、ここで青色で示すようにかなりのリン酸化反応が得られますが、インターフェロンガンマが細胞内で検出可能となるレベルに達するには十分ではありません。ところが 2 時間、または 2 時間 20 分刺激すると、シグナル応答とサイトカイン応答の両方をこれらの細胞で得ることができます。これはヒストグラムを重ねたもので、レイアウトエディタでの作成方法については後で説明しますが、4 つの異なる刺激条件、つまり 4 つの個別サンプルを同じグラフ上に表示することで、こうした異なる条件下での経時的分析における反応を説明できます。

サンプルを 46 個読み込みます。このうちの 20 個が実際の実験対象です。All Stain サンプルとしていますが、このサンプルはパネル内のすべての試薬で染色してあります。そして 14 個は FMO コントロールです。FMO (Fluorescence Minus One) コントロールでは、1 つの試薬をパネルから外しています。FMO はゲーティングコントロールとして機能し、パネル内の他のすべての色が存在する状態で真の陰性がどこにあるかを確認できるため、陽性と陰性のゲートをどこに設定できるかを知る上での指針となります。左は All Stain のグラフです。CD3 と HLA-DR を見ています。T 細胞が右側にあり、B 細胞や単球などの抗原提示細胞が左上にあります。ナチュラルキラー細胞などのダブルネガティブ細胞は左下にあります。

染色試薬パネルに HLA-DR 抗体を入れない場合はきれいな DR 信号が得られ、HLA-DR 陽性を定義するゲートをどこに配置すればよいかが分かります。また蛍光補正コントロールもありますが、補正については今日はお話しできないかもしれません。蛍光補正はマルチカラー蛍光サイトメトリーで必要となります。パネルで使用する試薬ごとの蛍光スペクトルを特定することで、異なる検出器への漏れ込みを測定して補正することができます。これは未補正のサンプルで、CD3 Alexa700 抗体だけで染色したものです。Alexa700 の陽性集団が APCH7 検出器の方に曲がっているのが分かります。このコントロールを補正すれば、このグラフに近くなるでしょう。陽性画分と陰性画分の中央値が統計学的に等しくなります。

他にも収録済みのウェビナーがいくつかあります。「Ninja Skills」というウェビナーでは補正から説明しています。こちらのご紹介を以って終わりにしたいと思います。