Dot vs. Contour Plot
: FlowJo University

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Dot vs. Contour Plot

データグラフの表示タイプは、フローサイトメトリーのワークフローを実行する上での重要な選択となります。データを効果的に表示すれば、読者は表示情報を正確に解釈できます。 フローサイトメーターで収集した情報は、フローサイトメトリー標準 (FCS) ファイルとして知られる特殊なリストモードデータ (LMD) ファイルに保存されます。この情報を FlowJo™ 解析用ソフトウェアで表示するには、まず記録データを 2 次元ヒストグラムのビンにプロットし、これらのビンを X-Y 平面 (直交座標) 上にグラフ化します。軸のパラメータは通常、光散乱や蛍光の何らかの組み合わせとなります (1)。フローサイトメトリーデータによく使用されるグラフタイプはドットプロットと等高線プロットの 2 つで、ともに 2 変数 (異なる変数に対応する 2 つの軸がある) のグラフタイプです。最適な表示法はデータセットの性質に基づいて選択できます。

ドットプロットは、中~低度数の集団を持つ細胞集団を調べるときに有用です。各イベント (通常は細胞) のデータをヒストグラムのビンにプロットし、ビンの中でもデータ量の多いものをドットとしてグラフに描出します (1)。図 1 は散乱パラメータのドットプロットで、2000 イベントを 2000 個以下のドットで表示しています。

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図 1.前方散乱光と側方散乱光のドットプロット (イベント数 = 2000)

図 2 では、同じ散乱パラメータで 35000 イベントの集団を 5000 個以下のドットで表示しています。

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図 2 では、同じ散乱パラメータで 35000 イベントの集団を 5000 個以下のドットで表示しています。

ばらつきの大きい集団のデータをプロットすると、ドットが団子状になってしまうことがあります。これによってデータ内の重要な詳細が分かりにくくなることがあります (1)。プロットが高密度領域に集中している場合は、等高線プロットの方が効果的にデータを表示できることがあります。

等高線プロットでは、データの相対度数が表示されます。イベント密度は等高線 (勾配) で表されます。それぞれの線は同じ割合のイベントを囲んでいます (1)。等高線が密になっているところはイベントの集中度が高い部分です。等高線プロットでは割合が示されるため、サンプルサイズへの依存度が低くなります。また等高線プロットでは対数勾配とすることも可能で、この場合、次の等高線には前の等高線の 2 倍のイベントが含まれます (1)。 図 3 では、図 2 と同じ 2000 イベントの集団を等高線プロットでグラフ化しています。

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図 3.前方散乱光と側方散乱光の等高線プロット (イベント数 = 2000)

最も外側の等高線に入らないイベントは、標準的な等高線プロットでは表示されません (1)。分析ソフトウェアでは、外れ値となったイベントをドットとして等高線プロットに入れることができます。図 4 では 2000 イベントの集団を、外れ値を重ねた等高線プロットで表示しています。

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図 4.外れ値を重ねた等高線プロット (イベント数 = 2000)

また等高線プロットは、軸上にイベントの集積がある場合にも有用です。ドットプロットでは詳細を識別できないため、測定限界を超えたイベントの数を見積もるのが難しいことがあります (1)。図 5 は、2000 イベントの集団の表示を対照比較したものです。この集団では、両軸の陽性側の端にイベントの集積があります。

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図 5.前方散乱光と側方散乱光のプロットのデータ集積における比較 (イベント数 = 2000)

ドットプロットと等高線プロットはともに有用なデータ表示法です。イベント数の少ない集団を表示するときはドットプロットの方が有利です。イベント数が多いときは、イベントの相対度数がより詳しく表示される等高線プロットの方が効果的です。また等高線プロットは、軸周辺の集積を確認するのにも役立ちます。


References
  1. Shapiro, Howard. Practical Flow Cytometry. New York, Alan R. Liss, 1985.