Linear vs. Logarithmic Scaling
: FlowJo University

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Linear vs. Logarithmic Scaling

データのグラフ表示は、ほとんどの分析において極めて重要となります。効果的なグラフでは実験パラメータ間の関係がはっきり示されます。グラフのスケーリングや任意のパラメータ (チャンネル) の変換は、ある一定のデータセットを適切に解釈するために調節できます。最適なスケーリングはデータの性質によって異なります。リニアスケーリングとログスケーリングは、よく使用される 2 つのデータ表示法です。

リニアスケーリングは、均等に分布した同じサイズのビンにイベントをプロットしていくことで達成されます。このため、データポイント間の視覚的な距離は、それらの値の間の数値距離に比例します。リニアスケールの他の例としては定規やメジャーがあります。図 1 は、直線関係を持つ任意の値をプロットしたものです。

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図 1.直線関係を持つデータ

両軸の目盛の 1 つ 1 つが、値が 1 変化することを表しています。このスケールはグラフの全範囲で一定です。

リニアスケールは、ある一定の範囲に値が均等に分布するデータセットを表示するのに最も効果的です。フローサイトメトリーデータを扱う場合は、前方散乱光 (FSC) と側方散乱光 (SSC) の関係をグラフ化するときにリニアスケーリングがよく使用されます。FSC と SSC はそれぞれ、細胞サイズ、細胞の顆粒性状と相対関係にあります。これらの測定値はパラメータスケールのある特定の領域に集中しないため、両パラメータの特徴をリニアプロットでよく表現できます。リニアプロットは、データポイントのダイナミックレンジが大きいときはあまり実用的ではありません。

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図 2. FlowJo™ 解析用ソフトウェア におけるlinear(線形変換空間) (左) とLog(対数変換空間)での散乱パラメータ表示

ログスケールは、幅広いダイナミックレンジを持つパラメータをグラフ化するときに威力を発揮します。ログスケールは値間の指数差 (乗数の差) に基づいています。軸上の連続した目盛は、変化率が等しいことを示します。図 2 は、対数関係を持つ任意の値をプロットしたものです。

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図 3. Log(対数関係)を持つデータ (log-10)

目盛の間隔は 10 倍ずつ増加していきます。 こうすることで、絶対的変化ではなく変化率を観察できます。図 2 の X 軸上の目盛を見てください。最初の目盛と次の目盛の間の 5 単位の変化は重要ですが、6 番目の目盛と 7 番目の目盛の間の 5 単位の変化は目立たない程度のものです。ログスケールにはこうした双対性があるため、高値入力における変化とともに低値周辺の重要な変化を識別できます。

ログスケールは蛍光フローサイトメトリーデータをプロットする際に使用されます。不均一な細胞集団を描出するために、関心対象の細胞構造を蛍光色素で染色します。陽性細胞 (標的構造を多く含む細胞) は光を放出しますが、この強度は陰性細胞 (標的をほとんどまたは全く含まない細胞) の数千倍になることがあります。ログスケールはこのようなパラメータに適しています。

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図 4. FlowJo™ 解析用ソフトウェア におけるlog (対数変換空間) (左) とlinear(線形変換空間)での蛍光パラメータ表示

ログスケールには 0 以下の値が含まれないため、データセットのダイナミックレンジ低値領域の詳細がうまく表示されないことがあります。表示されているデータセットに負の値が含まれる場合は、リニア表示の方が適していることがあります。しかしながら FlowJo™ 解析用ソフトウェア では、両スケールの良い部分を取り入れた Biexponential"双指数関数的変換" などの変換方法を使用できます。

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図 5. FlowJo™ 解析用ソフトウェア の Biexponential(双指数関数的)スケーリングで表示した蛍光パラメータ